闇を待って咲く花は
乏しい花ではありません
それはきっとすばらしく
夜を照らしはしませんか
闇を待って鳴く鳥は
切ない鳥ではありません
それはきっとねんころよ
子守歌ではありませんか
朝になれば光の季節
まぶしすぎる世界では
ささやかな響きは溶かされて
ささやかな声は風に消え、だから
闇を待って笑う子は
暗い心ではありません
それはきっとあなただけ
愛してるからではありませんか
朝になれば太陽の園
色彩豊かな世界では
淡い色彩は溶かされて
淡い濃淡は空に消え、だから
闇を舞って散る花は
寂しい花ではありません
それはきっとはらはらと
月夜の晩に踊るのです
闇を舞って飛ぶ鳥は
悲しい鳥ではありません
それはきっと星たちの
またたきの合間を行くのです
[貝殻の詩より転載]