翌朝の歌

(朗読ファイル)

《朝の歌》

翌朝の歌

おはよう、おはようございます
目覚めてみるとやっぱり真昼間で
重そうなカーテン握りしめ
引ききって光りを浴びたなら
あまりにも眩しい太陽は
西の窓辺から覗いてみせるのです

隣の二階のアンテナの
ぼやけた鳥のすがたなら
僕の監視か偶然か
睨み返してみたけれど
眼鏡も付けない僕だから
姿は滲んだまん丸で
鳥だか何だか分からない
けれども羽ばたく仕草して
やっぱり鳥だと思ったら
やつはみなぎる大空を
高く高くと舞い上がる
真っ青なるかな雲の上
ぷかぷか浮かぶは羊かな

おはよう、おはようございます
目覚めてみるともはや真昼間
跳ね上げた毛布はだらけきっていた
弛緩したしきった僕を真似るな
僕はガラス窓を開け放ち
ベランダばかりに奴を担ぎ出し
銀の手すりにぱっと跳ね上げ
広げて敷いたら日射しがじゅっと
乾かすみたいな暑さでもって
僕の肌をさえ指すのです
僕もしばらく銀の手すりに
干された方がよいのでしょうか

おはよう、おはようございます
目覚めるともはや午後だけれども
それでも寝起きは新たな心持ち
昨日の詩などまるきりうわの空
言葉を繋ぎ止める気力も尽きて
僕はただ午後の朝食を準備する
こころ軽やかで何よりです

2009/08/26

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