湖上肝胆(こじょうかんたん)

(朗読ファイル)

湖上肝胆(こじょうかんたん)

湖上肝胆(こじょうかんたん)の 霧また深かり
 めかし塗りした 落葉(おちば)の先で
停まっているのは 瓢虫(てんとうむし)かな

漕ぎつ戻りつ 波はゆかしき
 めかしてほのかな くちびる染めては
風やうなじと 櫂(かい)跳ねあがる

  お前はまるで櫂のゆくえも知らぬ風情(ふぜい)だ
   霧の晴れてから山径小径(やまみちこみち)ばかりを
  諭され歩くことのみを考えていたっけ

  風を切った僕は水面(みなも)の主(ぬし)ともなろう
   そうしたら霧のやつさえ印象派をあきらめて
  けろりとひるがえして向こう岸をさえゆくだろう

  けろりとひるがえして港のかなたまで
   仰ぎ見るなり、秋の懐古主義をさ引き連れて
  この後(のち)どこまでお前を連れてまわってやらうか

鳥居の朱(あけ)よ 寺院雅楽の
 唄は遠くて つくづく こだまするかな
振り向く君の くちびる留めよ

憧れ満たして 櫂のしずくよ
 遠くに寺院の 雅楽の唄だ

2009/3/2
2009/06/12改訂掲載

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