ベートーヴェン 交響曲第1番 第2楽章

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交響曲第1番2楽章

Andante cantabile con moto
F dur,3/8拍子

概説

 andanteの早さのソナタ形式で緩徐楽章をお送りしてみた。調性は(C dur)に対するⅣ度調の(F dur)で、推移や展開の拡大をせずコンパクトにまとめて無駄がないため、緩徐楽章としてのandanteの穏やかさ(1楽章に比べて)で密度が薄れることがない。

提示部(1-64)

第1主題提示部分(1-26)F dur

<<<確認のためだけの下手なmp3>>>
・ヴァイオリンで導入される分散和音上行型で開始する第1主題(1-7)が続いて属調でベースとビオラ、主調に戻って管楽器とヴァイオリンでと順次フゲッタ風導入を見せ、その後終止音型が続く自立的な第1主題提示部分。

第2主題提示部分(27-53)C dur

<<<確認のためだけの下手なmp3>>>
・属調に転調し、幾分躊躇気味に特徴的な休符を交えて第1主題と対比された第2主題(27-34)が始め弦楽器で、続いてフルートで繰り返され、付点の耳に付く終止をもって第2主題を終える。この第2主題の2音による上行型は第1主題冒頭の特徴的な4度上行の音域を拡大して、すぐにはっと立ち止まったことによって誕生している。

提示部終止部分(54-64)C dur

<<<確認のためだけの下手なmp3>>>
・ティンパニーが付点をどんどこどんのちゃんちきりんと打ち鳴らし続ける上でヴァイオリンとフルートが3連符による軽快な終止旋律を奏でながら提示部を終える。

展開部(65-100)

 第2主題的音型を使用し短調の(c moll)で展開部に至ると明るさを回復してすぐにベートーヴェンお得意の主調(F dur)に対する遠隔3度調(Des dur)に移行、弦楽器が先ほどティンパニーに見られたどんどこどんの付点音符連打を行い、それに乗せて管楽器が第2主題の跳躍上行と休符のパターンを使用して特徴的な2音を繰り返しながら(b moll)へ転調、(f moll)に入ったところで特徴的なドッペルドミナント下方変位根音省略7の2転の和音が登場、管楽器の音型が発展して小クライマックスに達すると、再び声部を減らして今度はティンパニーがちゃんちきりん(・・・擬音は全く意味なし、夏目漱石の坊ちゃんを参照のこと)の付点を引き継ぐ。すると今度は2度進行による2つの音を主体とする短い音型が弦楽器と管楽器で奏されながら(F dur)の保続Ⅴ音に到達し、上声は保続音の上で和声を次々に変更させ再現部に向かうが、その直前に和音を止めて、ヴァイオリンがソロ風パッセージを織り込んで楽曲の刻みを一端変えて引き延ばす。

再現部(101-162)

第1主題再現部分(101-126)F dur

・フゲッタ風導入に今度は対主題として音価の短い音階的パッセージが付いた第1主題が順次導入され、ただ戻るのではなく新たな段階に到達して再度現れる第1主題という大王お得意の手法が存分に発揮されている。

第2主題再現部分(127-153)F dur

・今度は主調のままで、第2主題まで来ると今度は安定性の回帰の意味合いを持って提示部と同様の進行を見せるのも大王の定番のやり方である。

再現部終止部分(154-162)F dur

・今度は主調で。やはりヴァイオリンとフルートで3連符が活躍してみる。

コーダ(163-195)

 第1主題冒頭が再登場するとその素材を変形使用して終止旋律とする前半181小節までを形成し、続いて182小節からおなじみになった私なんぞもどんどこどんの付点音符が弦楽器に登場し、ヴァイオリンにより特徴的跳躍上行をした上の音から下る音階パッセージが大きく2回提示され、2回目にはフルートでその反行形の上行パッセージが組み合わされて締めくくる。

2005/03/16
2005/03/21改訂

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