ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 ト長調

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概説

 脅威の創作力が作品59の3つのラズモフスキー弦楽4重奏や、交響曲第4番、ヴァイオリン協奏曲と共に、このピアノ協奏曲第4番を生み出した1806年もベートーヴェンはいろいろ騒がしかった。前年に作曲したものの不評だったレオノーレ(第1稿)の改訂版(つまり第2稿で、これは後に1814年になってからフィデリオとして蘇ってくる)上演を試みては旨く行かず癇癪を起こして取り下げるし、弟のカスパール=カールがヨハンナ・ライスと結婚したのに反対して大騒ぎはするしで、それが元でヨハンナこそがベートーヴェンの不滅の恋人だったというような中途半端な映画が製作されたりと、後々まで大変なことになった。またこの年、ベートーヴェンを俺様の専有物だと強情を張るリヒノフスキー侯爵と、自立的に他のパトロンとも同列に侯爵を置きたいベートーヴェンとの仲が険悪になり、彼の領地であるシュレジア地方への秋の旅行最中にベートーヴェンが椅子を振り上げるほどの喧嘩になったりと、相変わらず作曲以外でもお騒がせなベートーヴェンだったが、楽曲の方はそれとは無頓着に深い叙情性を獲得してしまったようだ。

初演

・1507年3月にロプコヴィッツ邸で私演されたが、公開演奏の初演は1808年の12月22日にアン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェン自身の演奏による。この演奏会は、例の交響曲第5番やら第6番だけでなく合唱幻想曲までも大量投入して、オケの練習不備の為も在ってか、何もかもが大根チェルトに陥ったという、悪名高い演奏会になってしまったので、この曲も正当な評価が得られなかったようだ。ベートーヴェンはこれを最後にピアニストとして聴衆の前に立つことを止め、この曲は後に1836年になってメンデルスゾーンが蘇演したという楽曲救出伝説が残されている。献呈はルドルフ大公に。

楽器

・ピアノ、フルート2,オーボエ2,クラリネット2,ファゴット2,ホルン2,トランペット2,ティンパニ1対,弦5部
・ただしトランペットとティンパニは3楽章のみで、さらに2楽章は弦楽器とピアノのみ。

演奏時間

・グレン・グールド演奏、レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック(1961)の演奏。バーンスタインの指揮が2楽章など幾分荒い上、もう少しピアニストに寄った演奏をして欲しいという思いが無いとは云えないが、それでもこの演奏が一番好きなのです。
第1楽章(19:18)
第2楽章(6:40)
第3楽章(10:46)

2005/12/07

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