シューマン 交響曲第3番 第5楽章

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年貢の納め時

・もうこれ以上手間暇掛けていたら、稲さ倒れて食えなくなってしまうので、残念ながら時間切れということになりました。申し訳ない。走り書きで飛ばします。正規のリズムが、裏拍強調や、シンコペーション、付点リズムで揺らされ、楽曲進行の体感速度を心地よくふさぶる効果に注目下さい。

提示部(1-97)

第1主題提示部分(1-56)Es dur

<<<確認のためだけの下手なmp3>>>
・第1主題は(1-47頭)までの長きに渡り、実際は26小節までの主題が、継続的に引き延ばされた作りになっている。したがって第1主題内を一つの楽曲と考えると、26小節までが一つのフレーズで括れる安定した部分を形成し、27小節からが中間的推移的部分で、39小節から主題後半が再現する部分が楽曲終止にあたる。楽曲の素材として重要な付点リズムや、シンコペーションリズム、裏拍強調リズムなどに注目して詳細に検討すると非常に面白い。面白いのだが、今は走り去るのみ。
・控えめに導入された11小節目のベースラインのシンコペーションリズムが主題旋律に現われた24小節の(C-F-Es)は、第4楽章主題の冒頭である。
[推移部分(47-56)]
・ホルンの印象的なシンコペーションリズムが合図となって、主題領域から推移にいたる。このシンコペーションリズムは第1主題の途中に登場した上、冒頭の特徴的な進行は第4楽章の主題冒頭でもあった。この合図に答えるように第1ヴァイオリンとフルートがこの音型に始まる推移フレーズが奏でながら非常に短い推移を持って、第2主題になだれ込む。

第2主題提示部分(57-79)B dur

・順次進行上行形で始まった第1主題に対して、分散和音下行型をアウトラインに敷いた第2主題が、第1ヴァイオリンとオーボエで開始。組み込まれたトリルが自立性と印象を深めている。この第2主題も第1主題と同様、移り変わる79小節まで全体を第2主題とした方が良さそうだ。安定した主題の括りは65小節まで。直前の64小節目で少し前(60小節)に予備された分散和音の印象的なファンファーレが管楽器に登場して、これが引き金となって管と弦が応答するファンファーレ部分を形成しつつ、72小節から短調の印象的な響きで同じところを行きつ戻りつする特徴的な部分が始まるが、この部分は第1主題の27小節目に由来する。つまり継続的な部分に同種の素材を使用しているわけだ。

提示部終止部分(80-97)

・裏拍のリズムを強調したスタッカートの響きの中で終止部分が開始し、84小節目から分散和音とトリルの短いフレーズで取りまとめの印象を与えつつ、裏拍強調の推移として終止部分全体が統一されている。

展開部(98-153)

[導入推移(98-105)]

・調性を変え2分音符2回引き延ばされると、展開部が開始し、この導入では第4楽章に使用された、例の主題Bの前半(動機B)が登場。

[第2主題冒頭にもとずく展開(106-129)]

・第2主題にもとずく推移だが、先ほど登場した動機Bが主題旋律の対旋律として使用されながら、展開されていくと、最後に例の裏拍強調の推移風部分に向かう。

[分散和音上行形にもとずく展開(130-153)]

・第2主題の途中にトロンボーンとホルンで登場した印象的なファンファーレの分散和音上行形があったが、直接はそこから、しかし元は4楽章の最後から由来すると思われる音階上行形に始まるフレーズがクラリネット、ファゴット、ホルンでファンファーレを奏で、このフレーズが中心になって展開部後半が形成される。しかしやがて、第1主題を思い起こさせる「タータタ」のリズムが登場し第1主題の再現に向けて推移的クライマックスを演出すると、最後にフォルテで音階上行フレーズファンファーレを力強く鳴らし、展開部のクライマックスは再現部第1主題に掛かることになる。

再現部(154-243)

・そして主題が再現され、主題開始部分はクライマックスのため開始部分と異なるが、途中から提示部と同様になると、第2主題途中(213)まで同様に進行し、そこで跳躍上行の幅を変えつつ、進行自体は提示部を踏襲。

コーダ(244-329)

・一つだけ加えておくなら、コーダでは271小節目から第4楽章主要主題冒頭の特徴的な音型が回顧される部分と、最後に速度を上げるクライマックスで諸君のハートは釘付けだ。(・・・時間が無いからって、そんな落ちは止めてくれ。)

2006/11/24
2006/12/02改訂

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