第5章 構成音の転位(2)

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休符

・最小まとまりの
   →前部にあれば前部休符
   →後部にあれば後部休符

・休符を先行音か後続音で充たすことを充填という
→一拍以下の休符は、常に充填して和声的取り扱いを行う
→後部休符は、常に先行音で充填する
→前部休符では、後続音充填は常に可能だが、先行音充填はその音が和声上合理的である場合のみ可能
→もちろん曲頭では常に後部充填

・休符部分の和音設定は、休符を充填して行う
→配置・連結も休符を考慮に入れて行わなければならない。
→ただし、曲の頭の前部休符は、配置に関する限り充填しないで行うのだ。分ったか。
→ついでに休符の後現われる音と等高の音を開始部に使用するのはかなりいけてない

・2個の休符の連続
→それぞれ1拍以下の「後部と前部」が連続する場合
→後部は先行音で充填
→一方次の前部は、1拍未満なら後続か先行音で充填、ただし1拍あれば充填しなくても良い

・2声部以上でも、それぞれの声部を上に見たように充填
→終止後に全声部が休符になることは比較的よくやる用法

同音反復

・ある声部で、同一音高の2個の音符が反復されることを同音反復という

1拍未満の2個の同音反復

・2個の同音が同一のまとまりに無い場合は常に良好

・同一のまとまりに含まれる時は
→一方の音が纏まりの外の音と結合されている
→2音が異なるフレーズに分離されている場合良好
    →これらを充たしていれば、限定進行音・転位音でも反復可能
→充たしていない場合は、避ける方がよい
→特別な意図に基づいて反復されている場合は良い

リズムに関する注意

リズムの統一

・実施は課題声部のリズム特質を尊重

リズムの相補

・課題声部と実施声部のリズムが補うように
・拍点での全声部リズム点欠如は避ける
 →ただし、終止和音部分の拍の拡大、速いテンポの4拍子・3拍子の2拍目は欠如しても差し支えない
 →両外声での強拍点リズム欠如は余り良くない
 →ただしその強拍点が、2転7和音・3転9和音の開始に当たる場合や、Ⅰの2転からⅤ7の途中で内声リズムだけや、Ⅰ→Ⅳ2転→Ⅰの内声リズムだけは問題ない
 →また、強拍点の外声の一方に掛留が含まれる場合も良い

跛行(びっこをひいた、釣り合いの取れない)リズム

・ある後部音符が、より長い後続音符と結合して生ずるあらゆるリズムのことで、絶対に避ける

移勢効果・・・シンコペーションでいいやん

・シンコぺは全声部一緒や両外声同時は出来ないし、バスのシンコペは和音交替を伴っていないと駄目駄目だ

アウフタクト

・曲頭アウフタクトは後続和音のいずれかの定位音と一致する場合、下3声に休符を置いても良い。そうでない場合は、下3声を付けた方がよい

→おまけ。曲頭アウフタクト、最後の全終止部分では「外声間の反行連続8度」が例外的に許されることがある(だからって多用するな)

・曲頭以外のアウフタクトは、先行和音のいずれか、と一致する時は、下3声に休みを置くことが出来る

P186からは内声主題再現を含む課題が

全長転位

・転位音が和音開始点に現われ、後続和音交替点で初めて解決するものを全長転位と呼び、その音を全長転位音という
→これによって、例えば(C-E)の上にある(A)を全長転位と考え、Ⅵではなく、Ⅰの全長転位和音とするといった裏技が可能になる。

・全長転位音は掛留音であることが多い。
・原則として復元解決だが、Ⅰの7和音やⅣの付加6の音は経過解決になる
・さらに後続和音で解決の延引がなされても問題ない
・さらに連続的に結合しても問題ない

2次転位

・転位音が、さらに2次的な転位を行う場合、2次転位という
・書き方もあるが・・・
・ただし定位音と見なしうる場合は、定位音として扱う。が、音型から明らかに2次転位と分れば、そう見なすのだそうだ。

構成音の変位

・ある構成音が変位音度(半音↑↓)に移されることを変位と言うが、同度に転位する広義の転位音と考えることが出来る

・やはり、前部変位音・後部変位音・全長変位音がある
→後部変位音は、常に先行原位を持ち、短2度の経過解決をする(半音階的経過音になる)
→前部変位音は、常に短2度進行で到達され、同方向へ増1度の復元解決

転位音の変位

・ご想像通り、転位音の変位もあり、変位転位音という
・逆の、変位音の転位も可能だ

変位音と同種定位音の同時関係

・上方変位音では、同種定位音が予備されている場合は良いが、同時発音はいけない
・一方下方変位音では、一切同時関係は許されない

借用転位音

・内属和音における転位音が、所属転換の結果、主調における借用転位音(C durでのBb音など)となることがある

・借用転位音を使用するところで、替わりに元の主調の固有音を使用することを芸大和声では原則避けるべきだと捕らえているが、場合によっては効果的である。むしろ、耳に従ってくれ

転位音の修飾

・転位音は、一般には修飾されない
・むしろ覚えて欲しいのは重要な例外のほう
→掛留音としての、3和音・7和音の根音の上方転位(C durⅠの和音でのDや、Ⅱ7でのEなど)は、修飾加えて最後に解決がしばしば使用される

修飾音の転位

・一方、修飾音の転位はまったく問題なし

解決の省略

・ソプラノでのある種の転位音で、解決を省略する荒技がある
→Ⅴ諸和音における5の上方転位の場合、これは修飾も出来る
→短調属9の1転根音省略における7音上方転位は、解決を省略して3度下降することが出来るし、修飾も出来る(この転位音は、第9音の上方にあり、根音ではないのである・・・だってさ)
→先行原位音を持つ後部転位音も例外的に解決省略
→先ほど挙げた、修飾できる例外的転位音は、例外解決省略もある

装飾音(修飾音じゃないから、間違うな)

・装飾音は、すべてきわめて短い転位音である

2004/10/23

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