中世デンマークの虚像
(シェイクスピアのハムレットでもほぼ通用する)
ハムレット………デンマークの王子
故ハムレット………ハムレットの父、先の国王
クローディアス………ハムレットの叔父、デンマークの新国王
ガーツルード………ハムレットの母、今はクローディアスの妻
ボローディアス………デンマークの宰相
レアティーズ………ボローディアスの息子
オフィーリア………ボローディアスの娘
オズリック………ボローディアスの部下
ホレーショー………ハムレットの大学時代の親友
マーセラス、バーナード………ハムレットの知人、デンマークの臣下
ヴォルティマンド、コーネリアス………ノルウェイへの使節
ローゼンクランツ、ギルデンスターン………ハムレットの幼馴染
レナルドー………船乗り
フォーティンブラス………ノルウェーの王子
そのほか兵士、墓堀など多くの者たち
このシェイクスピアのハムレットに基づく台本は管理人が始めて書いた劇の戯曲になります。始めの考えでは、すべてのプロットを忠実に再現し、ただし言葉づかいを修飾から解き放って、完全意訳ハムレットを目指していただけでした。
その台本を書き上げて一年を過ぎて読み直してみれば、あまりのお粗末さに大いに驚かされました。(こんな調子じゃあ今書いている文章も、一年後には読めなくなってしまうかも。)到底そのままでは使い物にならないのですが、かといってハムレットを書き直すとなると、今の管理人には別のプロットが頭の中にあります。残念ながら、それを一から書いている時間もないので、前に書いたハムレットのまま、さらに少し手直ししてお送りします。
そのようなわけで、会話部分もそれほど劇を意識しないで直してしまうかもしれませんが、まあ読み物としてお楽しみくださいな。ついでに一言。亡霊を無くすと、この戯曲は三流台本に落ちてしまうだけなので(全体を作り変えない場合は)、かえって亡霊を象徴的に扱って見ました。
元々はスカンジナビア半島にあった伝説に由来する。その伝説を12世紀末、デンマークの歴史家兼詩人サクソ・グラマティクスが「デンマーク物語」の中で取り上げた。主人公の名前はアムレス、ストーリーはアムレスが最後に見事復讐を遂げてめでたしになっているほかは、ほぼハムレットと同じである。
その本「デンマーク物語」が1514年パリで出版されたときに、フランソワ・ド・ベルフォレという人がフランス語の「悲話集」の中にこの物語を取り上げてみたのが1570年。「ハムレット」はこのベルフォレの書いたものがベースになっているとされている。
しかし話はそれだけですまないのである。シェイクスピアがハムレットを書く前、既にイギリスで別の劇作家のハムレットが上演されていたらしい。おそらく復讐劇の専門家(勝手に作るな)トマス・キットあたりが書いたものではないかとされているが、一方でその初めのハムレットもシェイクスピアが書いたという学者もいるとか、いないとか。とにかくその作品の影響の下に書かれたのが1601年初演のシェイクスピアのハムレットということになるそうです。めでたしめでたし。
管理人の個人的な考えでは、ハムレットは読んでおきたい、お気に入りの文学作品だとは思えません。シェイクスピアに興味を持ってハムレット日本語訳の読書から入れば間違いなく?彼に対する好奇心を失ってしまうでしょう。ですから興味の無い人に、無理に進める気はしないのですが、もちろんほんの少しでも興味のある人、また興味の出てきた人には、原作を読んで欲しいとは思ってるのです。そこで、もし買うのならば誰の翻訳を押すかといえば、松岡和子訳のハムレット(ちくま文庫)をおいて他にありません。台詞の力強さと、同時に繊細さ。言葉のリズムへの徹底したこだわり、この人の訳は読んでいて楽しいです。(‥‥‥‥なんだか宣伝みたいだ。)
2003/春