なぜ

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なぜ

なぜあんなに話をしたのに
もう会話も思い出せない
なぜあんなに感動したのに
胸の高鳴りも思い出せない
そこにいて存在したあかし
触れたひとの温もりさえも
もう影さえも浮かんでこない

こうして考えていること
安っぽい感傷にしたって
ほんの少し秒針が流れて
またどこかに消えていく
楽しく話したことも
さっきの笑顔だって
明日になればもう夢のようで
すぐに心から転がり落ちた

今幸せですか
今苦しいですか
嫌なことはありますか
楽しいことはありますか
どんなに果てなき苦しみも
いつかすべての意味を失って
初めから存在しないことと
まるで変わらないのだと
胸を引き裂いた時の恐怖
それもほんの少し進めば
初めから無かったこと

今消えて無くなっても
将来消えて無くなっても
同じなのだと言い聞かせて
それでも心は震えながら
明日を迎えたいと泣いている
それは理論ではなく本能で
言葉では片づかないものだから
みすぼらしく生きていこう
苦しみ抱えて足を引きずる
それは弱さではないのだから

なぜ(2008年5月改訂版)

なぜあんなに話したのに
もう会話も思い出せない
なぜあんなに感動したのに
胸の高鳴りも思い浮かばない
きっとそこに存在したあかし
触れたあなたの温もりさえも
もう影さえも浮かんでこない

こうして考えていること
淋しくて腕を握ったこと
安っぽい感傷にしたって
ほんの少し秒針が流れて
またどこかに消えていく
楽しく交わした言葉さえ
幸せあふれた笑顔だって
明日になればもう夢のよう
やがて胸から転がり落ちた

今幸せですか
今悲しいですか
楽しいことはありますか
苦しいことはありますか
どんなに果てなき寂しさも
いつかはじけて消えるなら
思いなんてどこにもないと
胸を引き裂いた時の恐怖
それもほんの少し進めば
はるか彼方のおとぎ話

今ふいに無くなっても
路を歩んで無くなっても
何も変わらないと言い聞かせて
意味などないと言い聞かせて
それでも心は震えながら
明日が欲しいと泣いている
それは理論ではなく本能で
心は片づかないものだから
みすぼらしく生きていこう
苦しみ抱えて足を引きずる
胸が痛くてのたうちまわる
悲しみの荒野は誰もいない
枯れた小道が果てなく続く
それでもそっと歩んでいこう
それは弱さではないのだから

作成時2001/10/10
2007/3/19改訂
2008/05/27改訂版掲載

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