何か残して

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何か残して

何をそんなに焦って追い掛け
掴まえられずにいらいらと
何をやっても楽しみの来ない
焦燥感だけがつのる夜は
果てなく続く愚かさに
気づいてまた流される

過去の忘れていたこと
不意に思い出して不愉快
ほんの些細な出来事が
誇張されて沸き上がる
憎しみだけが心を充たし
でも今ここにいる自分と
あの頃の自分のあいだに
何の関係があるのだろう
ただの曖昧な記憶の糸で
ぼんやり繋がっているだけ
何もありはしないのだ
こころの中でこっそりと
思い出を書き換えてしまえば
現実と虚構のあいだには
何の関係もありはしない
今の不愉快にしたって
未来の自分がこっそりと
のぞき見すれば価値のない
嫌な思い出のひとつとして
その気持ちが本当かどうかすら
どのみち分かりはしないのだ
感情の伴った記憶なんて
初めから持たなければよかった
気持ちのこもらない教科書の
単語でも暗記していた方が
どれだけましだか分からない

世界で一番汚らしい言葉
一つだけ書いてみようか
目を背けたくなるような
おぞましく醜い自分の
心にへばりついた真実
精一杯に書いてみようか
誰かお願いだから
ずっと僕といてください

この先に言葉あり
僕の話を聞いて
僕を好きでいて
お願い嫌わないで
こんな言葉の省略
原始的な言葉の省略
これだけでは駄目だろうか
これが考えて作られた
言葉の創作物だとは
認められないのだろうか
立派な詩であることは
みなされないのだろうか
どうも馬鹿げている
ビールたった2本飲んで
もう酔いが回ったのだろうか
それともたちが悪い
酔ったふりして一言だけ
誤魔化して書いてしまいたい
そんな醜い感情にまかせて
落書きしたに過ぎないのだろうか

今はただぽかんとして
みんなぼやけてだらだらと
今日があったという証をひとつ
どんな醜い作り物でもいい
寂しく残してみただけのこと

作成時2003/3/22

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