まだ諦めない

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まだ諦めない

もう終わったのだと
遠くに消えてしまったのだと
そんな思いだけがかすかに
胸のうちを横切った

必死に叫んでみたけれど
現状は打破されることもなし
嫌いな世界がずっと続くことを
諦め諭して暮れて行くもの
それは長き年月だっただろうか

言葉がまとまらず
かといって分裂もせず
思いは胸の靄(もや)で繋がれ
形なきひとつの色を浮かばせる
書き直すべき事柄など
今更何も無いのだけれど
こころの中にポッカリ浮かぶ
真っ黒な月に吸い込まれて
もう光の季節への憧れは
充たすことも出来ないのだ
それでも心は暗く染まりて
幸せ求めて夜明けを祈る
永遠の夜が訪れたこと
どうして認めることができるだろう

意味を求めて書き直す
何を求めてなし得るか?
僕には分からない
右も左も同じ感情に包まれ
もう距離感も分からないのだから
無駄な推敲(すいこう)など迫らず
静かに休ませて欲しいのだ

でもきっと遠くからあの声が
いつもの声がかすかに響く
休まれないという叫び声が
胸の野原にさやぎ始めると
諦めたくないのだと虫たちが
悲鳴のように鳴きだした

まだ諦めない
まだ諦めない
だから明日は必用で
すべてはそれだけのこと
仰々しく巧みを真似て
言葉を紡いで記し直した
それだけがこの駄文の
真実であるとすれば
それは感情をもてあそぶ
とんだいかさま詩人の
とんだまがいものに違いない

分からない
記したい想いだけを
すくい取って描き出し
纏まらないパッチワークで
出鱈目に重ね合わせたなら
模様はやがてひとつの思いだけを
浮かび上がらせてくれるから
その時思ったことだけを
纏まらない言葉のままで
出鱈目に書き殴るようでも
文章はやがてひとつの願い
浮かび上がらせてくれはしないか?

結局まだ
僕は悪あがき
必死で希望の翼
捜してさ迷っている

想いがぐるぐる回るうちは
まだ諦めない
まだ諦めない
だから明日は必用で
だから言葉は必用で
すべてはそれだけのこと

作成時2008/08/03

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