春の夕暮れ溶け出して

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春の夕暮れ溶け出して

春の夕暮れ溶け出して
おぼろに満たす赤ならば
ゆらと揺れつつまた揺れる
洗濯物のシャツ達の
色まで赤くはならねども
仄かに染まる雲ほどの
ピンクに染めて暮れてゆく
懐かしラッパがこだまして
あんな昔の流し売り
今にも続くこそばゆさ
通りの方ではクラクション
パッパとなって騒がしく
仕事帰りの服ばかり
並んで帰る街路樹は
色を誇った桜さえ
すっかり緑に若葉ぐむ
大気はすっと青草色
すがすがしいほど透き通り
明日の天気は晴れならば
駆け出したいよな夢を見る
春は夕暮れ初夏を待つ
ぼんやり過ぎておだやかに
かなしみもなく過ぎてゆく

P.S.
悲しみ僅かに逃れだし
幸せ色の言葉ばかりを
記したいほどの希望なら
胸に宿っているのです
そんな想いを飲み込むもの
消えて無くなればよいのです

作成時2008/08/09

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