お金下さい

夢だなんて愚かなことは
かつて述べたことはない
人の狭い認知のもたらした
まぼろしだって知っているから
個体の思いこみの歓びに
過ぎないことと知り抜いて
それでも平気な顔をして
夢や希望を語るなんて
そんな馬鹿な宿題出すのは
下等なことには違いない

真っ白なノートに羞恥心無く
同質的な夢を書きまくる
心許ない学生たちの
なんと汚らしい胸のうち
本気で追い求めながら
泥まみれで走ったこと
まるでない奴らまで
邁進する私の有様を
記すだけなら何よりも
こんなに楽なことはない
行為を無視した口先だけの
下等の人種がまた一群
せっせせっせと生まれ出る
なぜなら学校というもの
そのことを懸命になって
奨励し続けているのだから

生ぬるい温室の中で
娯楽まみれに成長し
本当の夢なんてみんな
本気で倒れるまでに
追い求めたこと無いくせに
互いに苦しいねなんて
平気で思い出ばなしに
そうやって生き続ける
だってよそから見たら
ただ流されているだけ
怠惰の毎日を繰り返す
夢や希望が大学に入ったとして
あんな醜いすがたして
享楽の生活を送ろうと
誰が信じられるだろう

そしてだらけて就職し
教科書に記されていること
駆使して考えれば簡単に
下らなく演繹(えんえき)されるような
ふざけた仕事の内容を
我が誇りにして一生を
娯楽と乏しい会話の中で
送り続けて消えていく

何の思想も倫理さえ
無ければ老いに衰えて
勝るものなど一つない
不気味なしわのお化けども
醜い笑いのよだれして
娯楽を餌に食いあさり
過剰保護され肥え太る
卒業したての若者も
こんな立派な例の後を
お手々繋いで歩いていく
何の反抗もないままに

夢だなんて愚かなことは
かつて述べたことはない
人の狭い認知のもたらした
まぼろしだって知っているから
ただ欲しいもの一つだけ
年々切実に思われる
今の生活送り続ける
お金だけが欲しいだけ