永遠の半端者

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永遠の半端者

汚らしい思い出溢れて
穢れた記憶の湧き出して
逃れるそばから浮き上がり
頭が腫れるように眠れない
こんなに沢山の濁りきった
スナップ写真がうずたかく
千切っても千切ってもまた
どこからともなく降り積もる
僕の思い出すべて犠牲にして
代わりにこの写真の群れを
すべて白紙に戻して粉雪の
舞い散るみたいにさらさらと
洗い流すことが出来たのならば
僕はどんな大切な記憶だって
きっと惜しみなく投げ出して
振り向いて泣いたりはしないだろう

僕に文章が書けるだろうか
こんな下らない断片でない
だらけた寄せ集めでない
きらめく勾玉のみすまるの珠
美しく並ぶみたいな文章を
一寸の狂いもなく紡ぎ出し
拍子に合わせて舞うような
淀みない旋律を奏でながら
本当の作品が築けるだろうか

陳腐の言葉を野獣みたいに
苦しみの雄叫び繰り返しながら
少しも胸の内は楽にもならず
なおさらに無様なおのれの姿
気持ちも焦るばかりなのだから
もうそろそろ残された時間
大切に考えて豊かな作品を
磨き上げなければ僕の価値
何一つ残されていないのだから

もっとすぐれた言葉が欲しい
沸き上がる豊かな単語どもを
語調の淀みもなく押し流す
芸術的なセンスが欲しい
気持ちばかり焦る夜更けに
またノートに走り書きをして
結局気持ちを落ち着かせる
こんな風に半端者として
僕は朽ちて行くのだろうか

汚らしい思い出溢れて
穢れた記憶の湧き出して
逃れるそばから浮き上がり
頭が腫れるように眠れない
起きあがって記す言葉の
何と惨めでみすぼらしい
泥だらけの姿なるかな

穢れたこころの濁りこそ
僕の言葉を毒するのか
それともただ最初から
僕の才能が到らないのか
もう何も分からないままに
かなしくて見上げる時計が
かちんかちんと針を打って
不気味に時を刻んでいる

2008/08/23

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