みすぼらしい詩

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みすぼらしい詩

胸の内まるで定まらずに
半端に引きずるつま先の
求める道などありもせず
それが怖くて意味もなく
無駄な知識の欲求などに
逃れて我が身を誤魔化した

それで少し時の流れを
有意義に過ごせたような
はかない幻想も顧みては
何一つ記憶に留まらぬまま
垂れ流しだと気が付いた時
泣いて我が身を呪うだろう

それでもせめてお金さえ
すべての時間を得るだけの
お金さえあるのならばきっと
もう少し一人きりでまともなこと
出来るような気もするのだけれど

社会的な規範など訳も分からず
明日を未来に生き続けてきっと
明日を未来に仕事続けてきっと
何が幸せだというのだろうか
永遠に無人の荒野に気が付いて
僕は笑うことを忘れたみたいに
とぼとぼ砂漠を行くばかり

お金がなければ生きてゆけない
不可解なシステムのどれほどか
安っぽい下品なものかは知らねど
ひとつ明言できることはきっと
消えるにはお金など必要ないこと
だから君はいっそ死んだらいいと
分かっていながら震えたまんまで
君は何時だって窓の外を眺めている

言ってやろうか本当のこと
消えるのは怖ろしくてたまらない
今だに宛なく希望を夢見たりして
手を伸ばす気もない将来だとか
豊かな愛情なんて期待しながら
お前は安穏として寂しいだとか
切ないとかほざいて居るんだ

(こたつの中にはきっと
温もりの睡眠がありまして
こたつの上にはきっと
甘酸っぱい蜜柑がありまして)

死が遠く蜃気楼に見えるくらい
瑞々しい体が残されているから
毎日消えたいとわめいたりしても
その実少しも消える気など無い
不気味な生き物が小さな部屋で
床をのたくりまわっているのだろう

頭がくるくると踊っている
目の前の時計もくるくると
アルコールに満ちた脳細胞の
針を眺めて酔うみたいにして
いい年をした男がぽつんとして
幼い文章を羅列したまんま
幼い感情をもてあそんだまんま
そしてこれが自分のすべてで
他には何一つありゃしない

生きていくだけの勇気
それは何かと君は聞く
教えてあげましょうか
それはお金と呼ぶのです
僕はもうそれだけが欲しいのだ
だから僕のすべてを誰か
お金に換えてはくれませんか

世界一汚らしい詩
それを僕は明言する
これだけが真実の詩で
虚飾と比喩を着飾った
言葉遊びの芸術とやらの
どれほどきざたらしい
いつわりの詩集が並ぶ
書棚は醜さで満ちている
書店は悪臭に溢れている

ならば汚らしい言葉
どこにもあり得ぬくらい
率直に書き連ねたら潔く
僕の心は結晶化されるのだろう

明日もまた労働のため
いつもの時間に起きまして
毎日毎日繰り返されるだけ
不愉快なることここに極まれり
されどもひねもすのたりとして
一日を優雅に過ごしたところで
悪酔いしたみたいにこの不愉快は
抜けやしないに決まっている

こんな下らない文章
書き連ねないで
もう早く眠らないと
明日の夜明けまでには
四時間弱しか安らぎの
夢の時間は無いのだから

でもわざわざどうしてまた
下らない明日のために
懸命に眠りに就いたり
頑張って起き出したり
僕はいったい何がしたいのか
ぐるぐる回ってばかりで
本当に時の流れが早すぎて
何一つなし得ないくらいなら
それを束の間に悟りきって
一刹那を掴み取って道草せず
路を断ち切る勇気がきっと
臆病なる魂に魔が差して
出来はしないかと馬鹿なことを
考えてまた不意に惜しくなる

汚らしい路傍の続く
この路が哀しいくらい
大切な想いが湧いてくる
それは命を大事に思うための
君の魂の生命本能なのだから
ずっと歩いて生きなさい
今はそう思って布団に潜ろう
考えたって明日は来る
でも考えなくたって
明日は来るに違いないから

2008/10/20

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