支離滅裂

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支離滅裂

ねえ、どうしようか
胸のうちまるで空っぽで
希望の欠片も見つからず
ただ夜が来てお休みの
一言かければまた明日が
下らなくやってくることが
たまらなく不愉快で
なぜこんな毎日が
意味もなく次の日に
風にまくられた日めくりの
カレンダーみたいに過ぎていく

毎日毎日この部屋で
同じことして生きてます
誰と話しても嘘ばかり
こころの中は寂しくて
幸せどこにあるものか
まるで分からず涙する

毎日毎日この気持ち
引きずりながら生きてます
笑ったふりをしてみても
こころの中は苦しくて
幸せどこにあるものか
途方に暮れて立ちつくす

今日より導き出される
明日の答えは定められ
それなのに夢だの希望だの
無知蒙昧に叫んでいる
そんな沢山の人々が
本当は思想も何もない
下らない会話を楽しんだ

もう嫌だ
もう沢山だ
汚らしい会話
下らない毎日
なぜそうまでして
生きていかなければ
ならないだなんて
そんな必要性
どこにあるのだろう

社会の規範とか
人の世の哀しみだとか
そんなんじゃなくて
生存欲が動物的な
人間の本性だから
汚らしい本能が
道徳なんて着ぐるみを
着飾ってのさばって
死んではなりません
命は大切ですなんて
馬鹿みたいにわめいている

人が人をあざ笑ったり
思想も倫理も損なわれて
見てくれだけが肥大して
商品だけを追い求めて
娯楽だけを追い求めて
精神を持ち得ない生き物が
人間の形に成長して
小さな娯楽発生装置から
国中を覆い尽くしました

生きろなんて言わなくてもいい
生きるに甲斐ある世界なら
誰も死んだりはしないから
命は大切だなんて叫ばなくてもいい
健全な生命の輝く世界なら
誰も命を粗末になどしないから
だからお前達は黙ったらいい
エゴイスティックな顔をして
雄叫びを張り上げて安っぽい
偽善に酔いしれるのは汚らしい

人は美しいものだと教わって
人の世は健全なものだと教わって
でもそれはまるで出鱈目で
挨拶すらろくに出来ない
互いに独り言を言い合って
相手のことなど考えない
不気味な生き物の集まりだって
誰も教えてはくれなかった

僕には知人達の話すことが分からない
知人達は僕が本当のことを話すと笑いだし
僕はいつでも大勢の中に独りぼっちで
知人達はいつも笑うことだけを餌として
そして自分のことばかりわめき散らした

僕は分からない
自分の生命の行方など
自分で決めて何が悪い
親とか家族とか友人とか社会とか
そんなもののために懸命に
毎日生きていかなければ
ならないほどの義理が
それらのなかに本当に
存在するものだろうか
だって僕が本当のこと
少しでも話し出すと奴らは
皆揃って首を傾げる
ただそれだけのものなのに

産み落としたから?
所有権があるとでも?
散々手を焼いたから?
創造権があるとでも?

あるひとは教えてくれた
小さな子供を捕まえて
親子は金の関係に過ぎず
愛情なんて存在しないのだと

わが家の夕飯はいつだって
醜い娯楽番組を垂れ流し
誰も一言も口を利かず
誰もがひとりで居るみたい
娯楽に釘付けに食う飯の
なんと味気ない毎日か

僕はそんな愛情を信じない
ご飯はせっかく作った食物の
おかずをもっていただくもので
娯楽を餌に口の中に
どろどろと掻き込むものではない
そんな家庭は偽物だって
僕は毎日寂しかった
だから僕はいつだって
どこに居たってひとりだった

僕はどうしたらいい
苦しくてたまらない
でもそれでもなおどうして
明日に希望など何もないのに
でもそれでもなおどうして
震える命に執着するだろう

幸せになりたい
心の底から笑ってみたい
でもどうしたらいいのか
僕には何も分からない

それでも結局
はかない望みは遠く
微かに漂い消えてしまう
今さらどうして掴むこと
出来ないままに朝の日が
鈍い足音立てて来る

そうして起きあがって
そうしてまた繰り返す
きっと明日も死にもせず
生きたとも云えずに過ぎていく

おかしいでしょう
これでも僕はきっと
みなより長生きする
病気はとても怖ろしく
いつまでも健康で
若々しくありたいと
突然そんなことを
考え出したりもするのです

ほんの五六分で
もう命がそれだけで
幸せだなんて考えている
この哀れなおめでたさ
あまりにも哀れな失策に
なんだか悲しくなって
同時に狂言めいて
吹き出したくさえなるのです

どうか自分を大切にして
はいずり回って生き抜いて
明日を迎えるそのことが
いつかあきらめに似た
穏やかな精神を手に入れる
唯一の道ではありはせぬか

嘘だ
違う
また騙そうと
しているのだ

居なくなればその瞬間に
長く居座れば先延ばしに
本質は何も変わらない
蓄積された絶望の長さは
退場するまで累積し
苦しみが延々続くなら
何のために執行に
裕余を求める価値がある

結局お前は
胸に手を当てて
お前の鼓動を試すがいい
その鼓動が大切で
石のように冷たくなるだけの
勇気がないのだろう
明日の朝日を拝みたい
いつか幸せを掴みたい
そう思って密やかに
夢を温めているのだろう

どうしたらいいだろう
明日また仕事に出かけて
たまらなく不愉快で
もう我慢ならない
他の仕事にしたって
きっと何も変わらないまま
ただ馬鹿馬鹿しく毎日が
垂れ流されるだけならば
いっそ誰か僕の精一杯の
言葉の羅列を少しでも
認めてお金を呉れないか

こんな不快感を書き殴って
それでも自分にはかろうじて
こんな今の瞬間の方がずっと
自らの命が価値を持って
僅かでも充実しているように
思えてならないのだ

アルコール入りの
何のプロットもない
幼稚な殴り書きの
精一杯の雄叫びの
何と下らない羅列が
はるかに続いたことか

僕はあなたに打ち明ける
これほど下らない駄文を
真摯に書きまくる愚か者
他にはきっと無いのだから
希少価値という大切な
一言によって我が声を
救い出してはくれないか

気が付けば四時をまわり
針が過ぎるのはもう嫌だ
お願いだから今この瞬間
時が止まってもう明日など
こなくなってしまえばいい
そんなことも思うのだけれど

本当に感情そのままの
感じたままの言葉にして
何の修飾も加えずに
何の虚飾も加えずに
歌にしたらきっともう
おぞましくって耳の中
暗黒の響きとなりました

なぜそんなにも
気取りばかりを好むのか
なぜそんなにも
修飾ばかりを好むのか
安っぽい愛の歌ばかり
中途半端に歌うのか

それは生の感情に触れるのは
おぞましいばかりで不快感
込み上げるからに相違なく
レトリックもない原形質の
言葉が醜くて下品で
近付きたくないだけのこと

ひとつだけ教えましょう
それでもなお本当の
せっぱ詰まった叫びなど
決して文章などには
なり得ないものだと
あなたに教えましょう
どんなに支離滅裂でも
出鱈目に満ちた言葉でも
もう文章にしたらすでに
原形質の魂の
叫び声ではないのです
もしそんな声をあなたが
生涯に聞くことがあったなら
あなたはこの言葉の意味を
ようやく思い知ることでしょう
そうしてもう二度と
その声を忘れることが
出来なくなることでしょう

人は誰もが
生の叫び声
あげること叶わず
もがき苦しみ
擬似的な言葉選んで
着飾った修飾か
それともはるか
永久(とわ)の沈黙か

長い文章
書けないだろうか
何か物語
作れないだろうか
こんなものでは
誰も認めては
くれないのだから

認知が欲しいのではない
せめて遣りたいことだけを
生涯続けていくだけの
幾ばくかの金が欲しいのだ
だってそれ以外にもう
よろこびの糧がないのだから

2008/12/03

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