お休みまもなく夜が明ける

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お休みまもなく夜が明ける

しばらく日付さえ
忘れたみたいな空白
かといってノートを開いては
何を記すというだろう
沢山の文字が繰り返し
連ねる想いが繰り返し
新たな台詞は何もない
それでも時々寂しくて
こうして指先見つめつつ
白紙に落書きなどしつつ
いつかの言葉を書いている

お休みなさい
僕はもう眠ろう
幸せ忘れたような
今日を終わりにしよう
希望を忘れたあなたなら
朝は侘びしく訪れるけど
夢の中はいつも苦しくて
うなされること多くても
そのくせ朝日の呼ぶ声の
命が甦る儀式みたいな
気怠い起床は辛かろう

なんとはなくて
本当はねえ皆さん
誰もが同じことばかり
ただ繰り返しながらも
それでもなんとはなくて
疑問ひとつと浮かばないほどの
心惨めに押しつぶされないほどの
小さな防波堤がそれぞれのうちに
大切な宝のように連なっていて
でもそれは絶対にあなたには
決壊させることの出来ないほどの
優れた材質の壁のようだったと
そんな馬鹿らしいことも
時には考えてみるのです

お休みまもなく夜が明ける
冷たい風はひとりのもの
冷たい風は誰かのもの
贔屓もなくて流れゆく
夜空の雲もなんとなく
凍てつくようじゃないですか

そうしてノートの初めから
今を振り返ればまたしても
ああこれは下らないことを
よく綴ったものであると
ひとりでくすくす笑いながら
蒲団だけはきっと安らかに
哀しみ包んでくれるだろう

だからお休み
諸君の明日が
優れて吉日で
ありますように

2008/12/19

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