青い海へと

[Topへ]

青い海へと

真夜中抜けて青い空
遠く流れる雲も白く
澄んだ大気も甦る
青葉ほどの初夏はうれしや

東から斜(はす)に日は照らす
遠く微かな磯の香り
母なる海も甦る
青波ほどの初夏はうれしや

こんな愉快な朝ならば
僕にはきっと定休日
とっとと休みの挨拶を
すませて浜へ飛び出した

喜びも悲しみも
果てなく続けば胸のうち
張り裂けてきっと僕たち
明日を待たずに死ぬだろう

すべて忘れて束の間の
今日は心の定休日
不幸に休みの挨拶を
すませて波を浴びるのだ

幾つ繰り返してもまた
約束違(たが)えず次の波
打ち寄せるほどのどっしりと
構えた海の声がする

それは束の間この胸を
励ますような強さにも
人の悩みを冷やかした
突き放すような雄大さにも

今はそれでもう十分
命の歩むことに価値のあるような
そんな逞しさを貰ったみたいに
僕は安心して浜を行く

今はそれでもう考えず
命の歩むことに価値のあるような
はずむ心に素直に従いながら
寂しさを抜けて青い海へと

2008/12/19

[上層へ] [Topへ]