ネムラナイト

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ネムラナイト

睡眠が命の糧だとは
そは誰かの格言か

もうすぐ目覚めの朝が
祝福の風を送るだろう
初夏の若草のような
澄み渡る大気となるだろう
だから君よ、落書きをとどめよ
並べて無駄な時間よ

それと知りつつノートに
弁別(わいだめ)も無く言葉の
羅列はまるでいじけた
虫の行進みたいにひしめく
僕はひとりで苦笑い

ネムラナイト
サミシサナンテ
ヨサムニマケテ
ナミダノママヨ

窓を放てば夏草色した
森の息吹きさえこだまする
そんなブルートパーズほどの
風はこころを奪うのだ

さえずる小鳥の名は知らず
せせらぐ庭木の名も知らず
土の色した研究ばかりを
命題として君はいったい
何を人生だとほざくのだろう

分かっていながらまたそっと
部屋に戻ってノートの白線
虫のような文字をくねらせて
だらだらだらだら連ねます
その馬鹿さ加減の結末は
つまりはここに記されたほどの
卓上駄文となりました

モウネムラナイト
ラクガキノハテニ
マブタノオチルヲ
タダイノリマシタ

眠くなりますように
閉ざした窓から大空へ
祈るほどのことでもないし
ひとりでつぶやいてみたり
するのも格好が悪いや

もう朝だけれども
おやすみなさい
おやすみなさい
ネムラナイト
次ぎにいけない
次とはいったい
どこにあるのか
どんなものなのか
それは分かりはしないけど
それが願うべきものなのか
それも分かりはしないけど

こころの中できっとまだ
かすかな望みが息づいて
僕を命の方へ方へと
絶え間なく引き寄せるものならば
僕はせめて明日(あした)のために
繰り返すべき明日(あす)のために
Gute Nacht やさしい夢を
この一日を終わろうと思う
お休みなさい
過ぎし一日を回想もせず
Gute Nacht やさしい夢を
だから、そう
今は眠らないとなりません

2009/3/11

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