言ってみただけ

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言ってみただけ

ほのかのコーヒーは香り
頭をかたむけ片肘ついて
ぼんやり眺める窓の外
飽くことも忘れた風で
眺め尽くして過ぎてゆく

もう終わりにしないか
昨日と同じ屈託や
心気(しんき)のぺしゃげた
沈むような思考ばかりに
身を委ねるのは止めにしないか

だってそれこそ線路の果ての
終着駅まで見渡せるほど
単調な繰り返しには違いないのだから

だってそれこそ行為もなくて
ただ乗りした列車で誤魔化し向かうほどの
甲斐なき終点はまたとないのだから

乗り物から降りてみて
自分の足で立ってみて
自分の力で歩いてみて
自分の視線で路を探して
そして既存の線路を踏み外して
どしどし切り開いて進んでゆこう

だってそれこそ命の意味で
行為がなかったら僕たちは
おなじ風景ばかり見果ての荒野に
枯れ色にだらしなく溶け込んで
ただ時間だけが流れ去るみたいにして
消えていくばかりじゃないか


P.S.
いや、幸せなら
そりゃあ、幸せならいいのです
それが心の底からの願いなら
なによりならばいいのです
人はきっと何かを為すために
生きているわけではきっとない
それは間違いないのです
でももし何か求めなかったら
僕たちどこに幸せを見るだろう
誰が幸せになれるだろう
餌をもとめるばかりでは
僕たちどうして不幸のままだろう
そう思えばこころ苦しくて
だから僕はこんなことを
落書き帳一杯に記して
言ってみただけなのです

2009/3/11

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