ぽっかり浮かんだ雲なのに

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ぽっかり浮かんだ雲なのに

ぽっかり浮かんだ雲なのに
熊みたいにして睨んでた
森じゅうふっくら緑をはらみ
ペンキの剥げてたすべり台やら
錆びつく鉄棒のいったいどこまで
蔦は昇ってゆくだろう
遙かなる青空よ、輝ける町並みを見晴せよ
僕のマンションも米粒みたいにして
原色に照り映(は)う遙かかなたから
日射しはすべてを祈りで包むだろう
見晴台の煌めきはいのちの工場か
膨大な時系列のわずかばかりの断片を
束の間生き抜く僕らにしたって
こんな午後には幸せになれるような
気配であるなら、今はただ健康ばかりが
望ましいもののようにさえ思われるものでした
ですから日だまりよどうかわたくしに
今しばらくの猶予をお与えくださいまし

2009/8/5

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