石灰の粉

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石灰の粉

あれ こころの 欠けらが
ねえ 誰かさん 見ませんでしたか
こころの 欠けらが どこかに
なくなって しまったのです
辛いよう 悲しいよう
誰もいないのです 僕は誰でしょう
何も分からないのです もう黄昏です

あれ たましいが そっと見てみたら
ねえ 割れています 割れているのです
ひび割れは 前から あったけど
粉々になって 僕がいないのです
辛いよう 悲しいよう
もう誰でもないのです ただの粉なのです
何も分からないのです もう夜寒です

ああ 幸せって どんなもの?
そう 一度くらい 笑いたくって
幼い頃は あったのか もう分からない
辛いよう 淋しいよう
もう思い出せないのです ほほ笑みが分からないのです
幸せが分からなくって 今はもうお別れです

ああ 真っ暗 闇のほほえみ
そう 声もせず 黒塗りのほほえみが
いつのまに 懐かしい 友だち気取りです
逢いたいよう 逢いたいようって
僕を呼んでいるらしいのです でも絶望なんて綿菓子です
もう突き抜けてしまいました 今は真空なのです

あれ こころの 欠けらが
ねえ 誰かさん 見ませんでしたか
粉みたい 砂みたい さらさらと
つい無くなって 消えてしまったのです
淋しいよう 淋しいよう
もう誰でもないのです もう名前もないのです
置物にもなれなくって 僕は消えてゆくのです

2009/12/01

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