夕べの小道

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夕べの小道

あなたと歩いた夕べの小道
ぽつんと眺める靴音ばかり
花を摘んではあなたの髪に
冗談みたいに刺した草むら
今ではさらさらススキの群れが
お月の姿を待って揺れます

あなたと話した夕べの思い
ぽつんと見返る悲しみばかり
名前を呼んではあなたの頬に
冗談みたいに指さき当ててた
今では真っ赤な糸もいずこか
あなたのぬくもりを探しているのです

いろんな思い出がありました
駆け上った丘や菜の花畑や
部屋のお菓子や夕べの散歩や
フレーズごとのあなたと二人の
流行(はやり)の歌さえありました

あなたと歩いた夕べの夢も
むなしく空へと昇華されます
名前を呼んでもあなたはいない
受話器の向こうにもあなたはいない
ススキが揺れて今ごろ虫の
リーリー鳴く音(ね)が谺するのです

2009/09/18

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