あなたへ

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あなたへ

あなたはきっと知らないでしょう
僕がどれほど醜い魂でもって
あらゆる人々に悪態つきながら

人々には嫌われ
陰口を叩かれ
けれども譲ることなく
憎しみのみを今はより所にして

生きているのだということを
朽ちかけた茎の色褪せた
歩みを繰り返していくうちに

僕はけれども分かっているはずです
こんなのはもはや詩にもならずに
あなたの心にもただ不愉快ばかりを
与えることは分かっているはずです

けれども僕にはもうこれしか無いのだから
こんなにみすぼらしくてとぼとぼと
歩みながら生きとし生けるものに
憎しみを撒きながら歩いてゆくことが

世を憂う勇姿の姿に思われたこともありました
けれどもう信じることさえ出来なくなりました
何もかもが憎たらしくてたまらいのです

もし僕にこの世を終わりにさせてくれる
たった一粒の小さなボタンくらいを
この手に委ねられたならきっと僕は

幾ばくかのためらいの後にその起爆装置を
己が身と引き替えに悪魔にこころ売り渡しても
きっと終わりにしてやろうとは思うのです

けれども、また、あなたがそこにいて
まだ生活をしているのだということが
たまらなくいのちの励みのようにさえ

今でも僕には思えるのです

この世はきっともう壊れている
そうでなければこの僕が
壊れていることは間違いありません

いい年をして恥ずかしいくらいです
けれども僕には何もない
これが僕のすべてなのですから

お休みなさいあなたはいい夢を
ただそれだけが僕の小さな慰めです
あなただけを僕はまだ愛しているのです
それだけは決して穢されることなき
僕の小さな真実なのですから
たとえ僕がもう壊れてしまって
本当にまともな言葉のひとつさえ
掛けることさえ出来なくなったとしても
決して変わることなき僕の真実なのですから

お休みなさい
いい夢を
あなたは見て下さい
お体を大切に
僕は今でも君のことを
そっと思っているのです

2009/10/14

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