宵のパレード

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宵のパレード

触れ合う二人、色彩を煌めかせ
まばたきの間にもきらびやかに
電子音は翼を広げて駆け上がる
まばゆいほどのパレードばかり
虹色のおとぎ話みたいなまるで
人形劇のように華やぐのでした

あなたの指が、示すあのヒロインの
きゃぴきゃぴしたような仕草さえ
七色の電飾馬車のサーカス団の
お供を引き連れて過ぎてゆく
ふとした夏風が二人のこころを
一つに包んで寄り添わせるのでした

どよもしの人波も、穏やかな揺れをして
子らのはしゃぎに赤や緑や黄色の衣装たち
ネオンみたいな人の姿をかたどって踊ります
その時、まるで天空へと花火は舞い上がり
咲き誇るように歓声が沸き起こるみたい
人工の楽園はひと盛りするものでした

まばゆい行列の、後ろから静けさ
控えているのだとしても今はただ
こうしてあなたの温もりをばかり
確かめ合うみたいなふたりの宵を
束の間、目一杯の幸せを彩りつつ
電飾パレードは過ぎてゆくのです

なんだか不意に一抹の
淋しさくらいが広がって
あなたの腕を引っぱっては
みんなの視線はもう蚊帳の外
そっとやさしく口づけなんかを
交わして……それから素っ気なく

またパレードの電飾を
眺めるときに指先ふたつ
もつれ合うような仕草さえ
あなたと続けていけたなら
そんな願いを込めながら
終わりの来ない夢の日を
心に祈っておりました
祭に祈っておりました

2010/5/29

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