愛したいほど君が好き

(朗読なし)

愛したいほど君が好き

ぽつねんの君酔いたる岬に
カモメの衣裳をまとった僕は
たわらかな胸の隙間に乗じて
抱き締められたいほど愛してる

心悶(もだ)えてもまどろむ午後に
子猫の着ぐるみ被った僕は
ほどよき股(もも)の弾力にまかせて
のしかかりたいくらい愛してる

ふわふわしたそのなめらかな
もみもみしたいそのたわわなる
あうあうと妄想にかまけて僕の
まくらはすっかりつぶれちゃった

ぱっかとひらいたる卒業写真
さりげなくカッフェを気取った僕は
せつなき心のすき間にまかせて
携帯電話の数字は幾つかえ?

床でごろんごろんと悶えるみたいに
そんなふうに一日が過ぎていくって
そんな歌もはるか万葉のころには
踏切の向こうに君が居たりするものです

すなわちせうゆをかけすぎたみたい
すなわちみなもをたゆたうみたいに
ふっとあなたと話すような妄想が
なるとの渦みたいにめまぐるし

このこころの君は君なるや
はたまたしかり僕なるや
僕ならいっそ夢の中さえ
押し倒したなら平手打ち

痛いものはそれは心というものか
いじわるなのはそれはあなたというものか
まどろっこしくって携帯電話の
数字を押してはまた止めるのだ

いくじなしって叱られの部屋に
けれども一人で眠る頃には
星明かりすら見えぬ町並み
風渡る岬に君は居るのだろうか

ぽつねんの君酔いたる岬に
カモメの衣裳をまとった僕は
たわらかな胸の隙間に乗じて
抱き締めたいほど愛してるのに

おやすみなさい僕のひと
おやすみなさい僕の愛すべき
ひとことも話したことないほどの
すてきな君の夢を見ようではありませんか

2009/1/14

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