日付変更線をまたぐの詩

(朗読ファイル)

日付変更線をまたぐの詩

その一

さあさあ、日付変更線をまたぐぞ
日付変更線をまたぐぞ
日の出はからから音を立て
月夜はさらさらせせらいだ

それなら日付変更線をまたぐとき
どんな音がするだろうかと
耳を澄ました僕だけど
何も聞こえず過ぎ去った

さあ、今こそ日付が変わったぞ
日付が変わって翌日(あした)という名の
新たな一日が始まるぞ
始まるけれどもそろそろ僕は
しどろもどろに途切れるぞ

その二

前日の、所詮十五の即興を
見直すほどの馬鹿らしさ

僕のためには薄めごおりの
恩恵ばかりが果てなき友か
からから氷と書く手をやすめ
蒙昧任せの願いも朽ちた

酔いて戻らぬ時の座標を
手のひらかざして歪んだ春よ
しゃっくりばかりが息づく気配を
夜更けのだらけと留めはしまい
朝(あした)を待ちます酒なるしもべ

白き御空の近くなるまで
時計の針も掛居(かけい)の姿を
我にさらせよ今宵一夜の
干からびごころの崩れ去るまで
美学もあらずて怠惰のグラスを
転がすほどに歌は過ぎゆく

2009/08/24

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