「炊歌(かしぎうた)」

(朗読ファイル)

炊歌(かしぎうた)

稲の穂も染まる黄金(こがね)の夕映えに
あかねさすすじ雲を追ってか赤とんぼ
舞い踊る群れなすままの西空に
風はこぶ一番星のすがたして

はしゃいでた遊び仲間を呼ぶ声に
駆け出した手を振るかなたの影法師
ぽつぽつと家路を慕う友たちの
さよならの声さえ宵に染まりゆく

ひとりして淋しさこらえて風が吹く
冷たさを肌にかざして虫の声
うつむけば何の小石のひとかけら
侘びしさに打ちのめされてたその時を

夕暮れの哀しみかざして星あかり
なみださえ浮かべて滲んだしょんぼりを
遠くからあたたかくって呼ぶ声の
母のもとへ力一杯走り出す
……そのフトコロへ

短歌

一菜のご飯の味より待つひとの
  おもかげ欲しくて秋の夕暮

         2008/6/20

2011/10/14

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