「亡き子を忍ぶ歌」

(朗読ファイル)

亡き子を忍ぶ歌

なでてさえ目覚めぬ夢のすがたして
  つぼみの花を奪う夜あらし

あえぐように夜更にしきる窓辺には
  あるじなくしたてるてる坊主

愛し合うただそれだけの咎(とが)ならば
  せめてわたしに負わせください

悲しみは去りゆく雲の悲しみは
  それは赤ん坊ではありませんか

なみだ色した枯れ野の果の哀しみを
  あざ笑うようなにぶき月影

悲しみは去りゆく雲の悲しみは
  ぬくもりなくしたてるてる坊主

いつかきっと春の窓辺のほほえみを
  返して歌う小鳥らの声

千代鳥の昇ります空のかなたには
  憂いなくしたしあわせの島

抱き合う二人の窓のかなたには
  ほほえむみたいな雲のすがたよ

……明日を生きよと

        2008/6/12

2011/10/13

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