夕べとまして 色鉛筆の
仄(ほの)か纏(まと)った お空の紅よ
薄め溶かして 坊や夢見し
御母(みはは)の胸に お歌うたえよ
雲をわたして 愚かの鳥よ
それを淋しと 眺める僕よ
滑空済ませた 風船ばかりは
ふわふわふわふわ 遙かな気配だ
眠れや児(こ)らや 宵歌(よいうた)とほく
手には太鼓と 空へ耳鳴る
ああ懐かしの セピア色かな
こころ優しき 者は誰でせう
ゆらゆれながら 祈り来る
手は銀杏(ぎんなん)の 温もりよ
ゆらゆれながら 風は吹く
宵の乳飲み子 未来を描く
いかにかお前の 満ちくる寝言と
夕べとまして 色鉛筆の
空へものぼる 蜻蛉のせなか
御母(みはは)はなおも お歌うたえよ
2009/2/13
2009/07/06改訂掲載