閉ざされし泥のなみだと
幾万の墓石を沈めて
今はなき初夏の明滅
鳴きはらす水面(みなも)もあらず
人々の踏みしばかりを
せせらぎも嗚咽(おえつ)するかな
溢れゆく池の恐れや
干からびて犬の遊びと
満たされし草の息吹きも
今はみな露と知らじを
ただ人の靴音ばかり
響くかも墓石の底へと
茫然と眺めつくして
ふるさとの俤いずこ
人々のこころもあらず
穢されし川の濁りと
せせらぎも今は虚しき
靴音の響きあらずや
閉ざされし泥のなみだと
幾万の墓石を沈めて
今はなき初夏の明滅
鳴きはらす水面(みなも)もあらず
人々の踏みしばかりを
我もまた歩み去るかな
2009/07/03
2009/07/06改訂