月影の歌

(朗読ファイル)

月影の歌

群青であどけなき 浮かべて星の宴よ
みなさん社交辞令にて たゆたう月夜ではありませんか
わたしの弓手(ゆんで)は ふとっちょグラスの
かざすと氷嚢(ひょうのう)に つくづくこだまするのだ

恩寵(おんちょう)にせわしなき 猖獗(しょうけつ)を浮かべて今宵
白銀勲章ごときのもの なんと鄙(ひな)びた気配という
わたしの靴には紐がない けれどもナイフは偲ばせて
かささぎの尖ったみたいな 季節が来たとは叫ぼうか

僕は堪えていたっけな
ころんからんと髪毛も薄く
正装並べて笑い透かして
樽みたいにして太っていたっけねえ

おべっか遣いのかまけた拍手と
潮騒みたいな賛辞麗句は
羞恥むなしく震えた僕の
諦めみたいな哀しみなのです

  ころんからんはいい響きだ
  かち割りグラスのころんからんと
  からんころんと僕諭す

こころ膝まで抱えこみ
とほりかかった月影の
魅惑ともまれて侘びしさの
臨戦休業いたしませんか

  ころんからんはいい響きだ
  私はいつも散弾で打ちのめされた
  鳥どもの悲鳴を想いだす

2009/2/9
2009/6/10改訂掲載

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