短歌十首

(朗読ファイル)

短歌十首

ちゅんちゅんちゅん米粒撒いたら雀の子
ちゅんちゅんちゅんちゅん春を呼びます

木漏れ日のちょうだいしたいなぬくもりを
したら僕とてもやさしくなるだろう

幸せをお訊ねしたいな郭公の
声はすれどもどこへいるやら

さばを読む真夜中時計のありがたみ
寝っ転がってはだらだらしてます

ららるぅららぁワイングラスも寝転んだ
窓から見ていた月とピエロよ

わが家には犬の気配のいたします
そやつは我を忘れた犬なり

いつの世の怨み染めるか染めぬのか
真っ赤の案山子よしばし眠れよ

今なおも足のたびごととぼとぼと
とぼとぼ灯るいのちなのです

灰色の心象あふれて鳥ぐもり
犬の散歩とてしたあなかった

朽ちかけの町のあかりと夜汽車とは
まったく僕の気に入る風情だ

2009/07/13

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