白百合の花咲く丘に
出会いと別れの一季節
立ち去り人のほほ笑みと
残され人のなみださえ
空のかなたに溶け合って
一抹の風となりましょう
「おばあちゃん。それじゃあ、また来るからね」
優しく肩を叩いたが、彼女は答えなかった。骨と皮ばかりが目立つほど、やせ衰えた右手には、もう腕には刺しきれなくなった点滴が、親指の付け根に差し込まれているのだった。けれども今日はめずらしく、ぼんやりと瞼を開いている。
「なにを見てるんだ」
すでに退職して年金生活を始めている彼女の長男が、母を覗き込むと、
「さあ。むかしの旦那さんのことでも見てるんじゃないの」
なんて妻は冗談を返すのだった。
さわやかな風を入れてやろうと開いた窓際から、雲ひとつない晴天が広がっている。狭山では今頃、茶摘みが賑やかに違いない。母が元気な頃は、散歩代わりに出かけたこともある。鮮やかな茶葉が陽射しを受けて、突き抜ける青空が澄み渡っていた。今日の晴天によく似ているなんて、息子はそんなことを考えているのだった。
「今日は特に穏やかなんですよ」
先ほど看護婦が告げたのを思い出して、
「本当に大丈夫かな」
と念のためにもう一度覗き込んだ。数日前の衰弱の際には連絡が入って駆けつけた。移された個室には死相の漂う母の姿があった。けれども彼女は、そのままの表情で今も眠っている。若葉の伸びゆくようなこんな日に、消えゆく人があるとも思えない。
「母さんまた来るね」
二人はちょっとだけ安心して、それから壁掛けのカレンダーの五月八日のところに、訪れた印を朱筆で入れ込んで、静かに病室を後にしたのであった。
彼女が介護施設へと送られたのは、もう七年も前のことになる。
嫁や息子の名前を忘れたり、テーブルの模様を何度もハンケチで拭(ぬぐ)ったりするうちに、半年あまりで急に症状が悪化した。夜中に暴れ出し、トイレットペーパーを部屋中に転がしたりするうちに、とうとう自宅での介護が困難になってきた。それでようやく、この介護施設へと入れられたのであった。そうなるまでの家族の苦労話さえ、今となっては懐かしい思い出だ。
看護婦が入室して、見舞客の帰った部屋を整える。
初夏の熱気の籠もる風を遮断して、窓硝子を閉ざすのだった。空調から涼しい風が広がってくる。棚には角張った時計が置かれている。ちょっと古めかしい患者の持ち物だから、時代錯誤に秒針がうるさかった。看護婦は念のために患者に、
「いいですね。しょっちゅう見舞いに来て貰えて」
と枕許から語りかけてみた。患者はやっぱり、ぼんやり遠くを見つめている。もう息子夫婦が来ても、孫たちが来ても、名前すら口に浮かんでこない。近頃は言葉さえ忘れてしまったようで、単語のひとつも出てこない。ただ時々は、瞳の焦点が定まって人らしい表情を作ることもあったが、それは知性が恢復するための現象ではないらしかった。
「こうして、無理に生かしておくのはかわいそう」
そう思えるくらいに、ベットの老女は痩せこけた表情をしている。この間も止まりそうな心臓を、装置を使って甦らせた。もし自然の摂理を蹂躙するのが施設の役割だとしたら、いつの日か世話をし続けた患者から、糾弾される日が来るだろうか。そんな感慨を浮かべたくなるくらい、職員にとっても消えゆく人を生かし続けることは、小さな苦痛でもあったのだ。だからといって……
少しでも一緒にいたいと願う気持ちを、誰が糾弾できるというのだろう。看護婦は点滴を確かめると、瞼を閉ざした患者の寝息を横目に病室を立ち去った。
時計の針だけがチコチコ音を立てる。
その分だけ、砂時計がくだっていく。
あるいはそれは、誰にも聞き分けられないかすかな響きをして、ひとりひとりの命を推し量っているのだろうか。それはわたしにも分からない。眠り続ける彼女の窓辺にも、いつしか夕暮れが近づいた。今日は不思議なくらい澄んだ大気が、冬くらい透明な夕日を導くらしかった。けれども凍てつくような大気ではないから、空は紅色ではなく、蜜柑じみた色彩に、静かに静かに、染められゆくように思われるのだった。
「それで、夕べのシーツ換えの時にさあ」
食事の仕度をしながら、女性職員が二人でだべっている。
三階への登り階段にある事務だから、レンジのような呼び鈴で停止したエレベーターの、開く様子はすぐに分かるのだった。こんな時間帯だから、仕事帰りだろうか、古風のスーツを着こなした背高の紳士が下りてくる。恐らくは四十歳くらい、恋人へ贈る花束をでも抱え込むようにして、白百合の束を手にしたまま、二人に向かって会釈をするから、職員たちも改まって、慌ててお辞儀を返すのだった。
紳士はそのまま病室へと立ち去った。
足音だけが廊下に響き渡る。面会は十九時までだから、不審がることもなかった。職員がおしゃべりを再開する頃には、はや靴音も遠ざかり、二人の声以外、あたりは静寂へと戻されてしまう。
「今の人。誰の見舞かねえ」
「ずいぶん、時代がかったスーツだったけど」
なんて告げながら、すぐにシーツの話題へと回帰するらしかった。
紳士は氏名を確認するまでもなく、個室病棟の際(きわ)にある三〇一号を軽くノックした。答えるものなどいない。静かに扉を開くと、部屋はオレンジ色の夕陽に染められていた。いつしか窓硝子が開いて、電灯さえ消されているのは、看護婦の不手際にしては、割に合わない程のずぼらである。まるで煌々(こうこう)とした照明が、紳士に驚いて息絶えたような気配だった。
開いたドアへと吹き抜ける、さわやかな風が白百合の花を揺らしたとき、紳士はようやく扉を閉ざした。靴音だけが部屋のなかに谺する。見舞いの相手は窓際近くに眠っていた。やせ衰えて、ベットの膨らみすら無くしたようなその枕許に立つと、彼女の真っ白になった髪毛と、皮から骨へと帰ろうとするくぼんだ頬が、枯れ野のような姿をして、寂寞(じゃくまく)の内に横たわっているばかりである。
しばらく表情を眺めていた紳士は、その顔にかつての面影を認めたらしく、懐かしそうな声をして、
「迎えに来ました」
そっと耳元に囁いてみるのだった。
すがすがしい若葉の大気が、窓辺から流れ込んでくる。それが、夕焼けの柑橘(かんきつ)色した光と混じり合って、白百合の香りを攪拌(かくはん)させたとき、渾然一体として懐かしいあの頃の、情景までも甦るかと思われた。それは眠れる彼女を覆う、喪心の夜霧をさっと打ち払い、朝日のような己(おの)が魂を、鮮やかに目覚ましてくれるのだった。
枕許に置かれていた、時計の秒針がぴたりと制止した。
窓から洩れてくる、市井の軽やかな騒音が、ふっと絶え果てた。
紳士はもう一度だけ、
「時間ですよ。そろそろ起きてください」
と囁いてみるのだった。
点滴のしずくが滴るのを止めたとき、彼女はうっすらと瞳を開いた。定まりのつかないその瞳孔が、あたりを見渡しながら、ようやく枕許へと焦点を定めたとき、動かないはずの彼女の口もとが、驚いたような仕草でそっと呟いたのである。
「あなた」
紳士はにっこりほほ笑んでいる。彼女は、あまりに長い眠りから覚めたみたいに、しばらくはきょとんとして、彼の表情を見つめているのだった。
「こんな。老けた姿を、恥ずかしい」
急に思い出したみたいにそう囁いた。
あまり久しぶりに再会した夫に対する、女らしい情感が戻ってきて、羞恥心を駆り立てたからである。彼は黙って、彼女の額へと逞しい右手の平を押し当てた。
「そんなことはありません。二人はもうこれからはずっと、あの日のままですから」
そう答えてから、置き棚にあった鏡を授けると、覗き込んだ彼女の瞳には、確かにまだ二人が結婚した頃の、あの日の自分が瑞々しい表情で、驚いたまま見つめ返しているのだった。
「あら」
と呟く声まで、嗄(しわがれ)れるのを忘れてしまった。まるであの頃の、砂浜を駆け巡るたわむれみたいな、陽気な快活に溢れている。彼女は急に、だらしなく横たわっている自分自身が恥ずかしく思えてきた。慌てて腰から起き上がって、よれよれの寝巻きなんか整えてみる。
「久しぶりですね」
紳士はやっぱりほほ笑んでくれる。彼女が愛したあの頃の表情をして、元気な夫がすっくと立っているのだった。
「迎えに来ましたよ」
穏やかで透明なその声が、忘却の深淵(しんえん)へ横たわる記憶を掬い上げ、まるで風に吹かれた真綿の舞い上がるみたいに、一時(いちどき)に甦らせてくれるのだった。
「覚えていてくださったの」
「当たり前です。第一、わたしが約束を反故(ほご)にしたことがありましたか」
ちょっと剽軽(ひょうきん)な口調で答えてくれるので、ぱっと嬉しさがこみ上げてきた。彼女はふさふさに戻された黒髪を気にしながら、「いいえ、ありません」という仕草をして、何度も首を振ってみせるのだった。胸が一杯に溢れてしまい、どうしようもなく、涙ばかりがこぼれてくる。ほほ笑もうと思っているのに、何だかますます泣けてくる。すると夫は、花束なんかはベットの上に投げ出してしまい、優しく枕許に腰を下ろすと、妻の顔を胸元に引き寄せて、柔らかく抱(いだ)きとめながら、
「大丈夫です。これからはずっと一緒ですから」
暖かい手の平で背中をさすってくれるのだった。
彼女は頷く仕草をしたままで、彼に抱かれて泣いていた。
沈みゆくはずの夕陽は、先ほどから位置を移さず、橙(だいだい)に染め抜く光を投げかけている。小さな壁掛けのカレンダーが、風を受けてふわりとひるがえった。
「大変、こんなところを。もうすぐ夕飯の仕度が来るのに」
ようやく彼女が、見あげるみたいな笑みを返したとき、背高の紳士は、
「心配いりません。もう時は止められてしまいましたから。ほら、時計を見てごらん。今は永遠に二人のためだけにあるのです」
「じゃあ、夕陽もずっと、このままなの?」
「もちろんです。二人がここを離れるまでは、ずっとこのままですよ」
「うれしい」
彼女はそっとまた、彼の胸元にもたれ掛かってみた。
彼は枕許にいて、優しく自分を支えてくれる。思えば随分頑張って歩んできた。一人で道を切り開いて生きてきた。この人を亡くしてからの長い人生が、満ち潮の清めみたいな砂浜に寄せてきて、胸が一杯になって声も出せないくらい……それを悟った彼が、
「長い間、迷惑をお掛けしましたね」
なんて頭を撫でてくれる。彼女は何度もかぶりを振りながら、思う存分泣きっぱなしになって、まるであの頃のだらしない妻に戻ってしまって、今しばらくは甘えてみせるのだった。だって、ずっと甘えるものもなくて生き抜いてきたのだもの、今だけは誰にも邪魔させない、思う存分幸せに浸っていたい。この人の腕のなかで……
「あなたに死なれてから、いろいろなことがあったの」
彼女がようやく語り出すと、夫は黙って頷いたり、相づちをうったりしながら、夕陽を浴びつつ聞き耳を立ててくれるのだった。それから不意に、
「あの日のことを、覚えていますか」
と尋ねるから、もちろんですと彼女は答え返した。
「あの日も夕陽がきれいでした」
「そうして、あの日もわたしは泣いてばかり」
「病気でありながら結婚なんかしたから、かえって迷惑を掛けました」
「ううん。だって、あなたが好きだったんですもの」
「亡くなってからは、前妻の息子たちの面倒まで見て貰って。大変だったでしょう」
「面倒だなんて、だって、あなたの子供たちですもの。今はもうみんな結婚して、孫だってすっかり大きくなって。でもみんな、今でもしょっちゅう見舞に来てくれて……」
「なんでまた、この辺りに住むようになったのです」
夫の質問に順に答えようとして、
彼女はまたいろいろなことを話してみるのだった。
時は永遠に引き延ばされて、いつまで語り尽くしても、
ほほ笑みを返しても、オレンジ色した夕陽は沈まない。
「そうですか、でも、病院に入ってからは苦しかったでしょう」
「ええ、だって自分が自分でなくなって。どんなに頑張っても、思いも言葉も一つもまとまらないんですもの。このままどうなってしまうのだろうって、そのくらいの感想すら浮かび切れなくって。もうあなたの姿さえ、浮かびきれなくなって。ただ時々、恐い恐いって、そればっかり」
「これからは、なんの心配ありません」
紳士が伝えると、彼女は安心して、彼の手を取りながらだらしなくしてみせるのだった。
「あの日、泣いてばかりのあなたに向かって、いつかあなたが亡くなるときには、必ず迎えに参りますとお伝えしましたっけ」
「本当にあなたの前では涙ばっかり。でもそれで、迎えに来てくれたのでしょう」
「そうです。あの日あなたが花瓶に活けてくれた、白百合の花束を持って。それにしても、街のありかたも人々の生活も、すっかり変わってしまいましたから、久しぶりに地上を歩くことは、ちょっとした楽しみでもありました」
「この国も、随分変わったでしょう」
「そうですね。ちょっとせかせかしすぎて、いのちの営みの最適な時間軸を踏み外しているようにも思えます。虚しい空回りのシーズンを迎えているような……もっともわたしが古い人間だから、そう思えるだけかも知れません」
「わたしも、昔のほうがいいです」
「あの頃のほうが?」
「ええ、あの頃のあなたとわたしのような」
「これからは、ずっとそうなります」
「うれしい」
「ほら、あの日のように、西空に金星が瞬いています」
「宵の明星。不思議、夕陽が残されているのに」
「いま、この白百合を活けてあげましょう。これを皆への別れの挨拶にするのです。ちょっと待っていてください。それから二人で窓辺から旅立ちましょう」
「あら、いけません。そんな仕事、わたしがします」
彼女は不思議なくらい軽やかに、今では体の軋むような痛みも、肉の衰えるような気だるさも、なにもかも無くなってしまって、点滴の管(くだ)なんかすっと外すと、ベットから降り立ったのであった。
「ああ嬉しい、何だか久しぶりに、生きる喜びに包まれるような気分」
なんて独り言みたいに呟くと、
「まあ、実のところを申せば、死にゆく喜びなんですけどね」
なんて、夫がからかうので、
「いいんです。気分の問題なんです」
とちょっと膨れてみせた。彼がほほ笑みを返してくれる。ああ、あの頃の二人だ、愛するままに生きていた、幸せの一季節。彼女はそう思うと、また涙が出そうなくらい嬉しくなって、けれどもそうだらしなくも見せられないものだから、せっかちみたいに白百合の包みを解いて、それから空になっていた花瓶に水を汲んできて、丁寧に整えて飾り立てて見せるのだった。
「きれいな花」
柑橘色に照らされて、ほんのり色づいた花びらが、
初夏の気配を込めるような夕風に、穏やかな首を揺らしている。
「花瓶に花なんて入っていたら、みんな驚くかもしれません」
「なんだか、最後のいたずらみたい」
なんて屈託もない彼女の表情は、幼いくらいのあどけなさを、
取り戻したくらいにチャーミングだった。
「それでは、そろそろ行きましょうか。
水が出るということは、もう時が動きかけている証拠です」
夫が手を差し伸べるのに任せて、
彼女はなめらかな指先で彼の右手を握りしめた。
そうして、ただ、
「はい」
そう答えさえすれば、今はもう十分な気がするのだった。
また風がひとしきり、澄んだ大気を運んできたと思ったら、
不意にふわりと体が軽くなった。「あっ」と思って、
彼の手をきつく掴んだら、
「大丈夫です。もう離れる心配はありませんから。
さあ、行きましょう」
軽やかに窓枠を潜り抜けると、二人は空へと舞い上がったのである。
「このまましばらく、空の散歩としゃれ込んでみましましょうか。
それから宵の明星のほうへ、羽ばたいて行きましょう」
「ねえ、久しぶりに、みんなの生活が見てみたい」
「それでは、ちょっとお別れに行きましょうか。
わたしも久しぶりに、子供たちの顔が見てみたい」
「みんなもう、おじいちゃんおばあちゃんよ」
「それはそうでしょう。でも面影は変わりません」
「わたしのことも、すぐに分かった?」
「もちろんです。幾つになっても、
あなたはあなたのままです」
「これからもずっと?」
「そうです。これからも永遠に、
変わらずに、二人は二人のままなのですから」
あるいはそんな会話が、遠い空のどこかで、聞こえたのかどうだか、今はもう分からない。二人が部屋を離れたとたん、不意に、時計の秒針が動き出した。市井の喧噪が、窓の下から、かすかに響いてきた。ライトを消された病室に、深い夕陽が差し込んで、白い壁紙をオレンジ色に染めるばかりであった。ただ不思議なことに白百合の花だけが、夕陽を浴びて揺らめいている。これはいつの世の、白百合なのだろうか……
点滴の生活にも関わらず、流動食をひと口でも与えようとする、夕食仕度の看護婦が、
「食事の時間ですよ」
といってドアをノックする。けれども開いてみると、消されるはずのない照明が消されていて、窓辺から初夏を思わせるような大気が、すっと流れ込んでくるばかりだった。
慌てて点灯してみると、干からびて水分すら受け付けなくなった、骨と皮になった老婆がひとり、不思議なことに、自分で点滴の管を外したらしく両手を布団から出して、寂寞(せきばく)の中に息絶えているのだった。その表情は驚くほど安らかで、静かなほほ笑みに満たされているように思われた。
医者が呼ばれて、生死の確認がなされる間、すでに窓硝子を閉ざした看護婦は、電灯の消された部屋の様子については語らなかった。自分の不手際になることを恐れたからである。ただ飾られた白百合の花が問題となったとき、エレベーターで訪れた紳士の事が審議されたが、一階の受付ではそんな人物は通過しなかったという。ビデオを見ても何も映っていない。もし事件なら警察沙汰にならなければならなかったが、ようやく遺族が駆けつけた時、
「おばあちゃんは、死ぬときには白百合を持った旦那さんが迎えに来ると言ってましたから」
そんな、非科学的な妄信を捨てない様子なので、それきり、紳士のことはうやむやになってしまった。病院としても、表立った不手際の見つからない以上、騒ぎ立てられるのは嫌だったから、それが幽霊の仕業でもあるならば、それに越したことはなかったからである。
これから、生きている人々には、死亡通知だのお通夜だの、告別式だの火葬だの、慌ただしい数日が始まるのだろう。けれども自由を得た二人には、それは関係のない物語。今頃あの夫婦は、空のどのあたりを漂っているだろう、それはわたしにさえも、もはや分からないのだった。
(おわり)
[2010/5/14-17]
(原稿用紙換算23枚)
2010/05/17