「銀の季節」 (ロミオとジュリエットより)

今は黄金(こがね)の季節だから 人々は手を取り浮かれ騒ぎ
憂いもみせず花咲き乱れ 愛し合うことをよしとした
悲しみもなく誰もが笑う 神の創った理想の里で
苦しみもなく誰もが集う 争いのない理想の里で

ロミオとジュリエット

黄金の季節の幸福に 人々は手を取り浮かれ騒ぎ
神の愛した花咲く丘で 足をならして踊りくるった
理想の里に雷(いかずち)が落ち すべての幸せが焼き尽くされた
理想の里に雪がつもり すべての幸せが埋もれていった

今は銀(しろがね)の季節だから 人々は手を張り罵り合い
疲れもみせず争いにくれ 互いの命を奪いつづけた
喜びもなく誰もが憎む 神の見下ろす大地の上で
幸せもなく誰もが呪う 怒り狂った雷雨の下で

銀の季節のおぞましさに 人々は手を取り涙を流し
花を忘れた荒野の丘で 神に祈って大地に伏した
理想の里に帰らせたまえ 小さな種(たね)に思いをたくし
理想の里に帰らせたまえ 花咲く頃に願いを込めて

[画廊へ] [Topへ]