ベートーヴェン 交響曲第4番 第3楽章

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交響曲第4番3楽章

Allegro vivace
B dur,3/4

概説

 短いS-T-Sのスケルツォ型楽曲を単簡に拡大して楽曲の長さを十分に保つべくS-T-S-T-S'に拡大した形式。頭にスケルツォと記入されていないが、中間部にはトリオと書き込まれている。スケルツォ風楽曲スケッジャといったところか。

スケルツォ(1-90)

スケルツォ主題S提示部分(1-20)B dur

<<<確認のためだけの下手なmp3>>>
・冒頭に楽曲全体を規定するリズム動機の提示を兼ねそろえた分散和音的動機を提示するのはスケルツォ楽曲の定番の遣り方。フォルテッシモのヘミオラ風リズムにより2/4拍子チックに開始するスケルツォ主題は、2音ペアの分散和音型上行跳躍進行を3回行い、本来の3/4拍子に戻って下降して半終止する部分が第1の部分になるが、この2音ペアの上行を動機X、最後の半終止下行形を動機Yとする。
・主題中第2の部分は直前の動機Yを反行形にした推移的パッセージに原型パッセージが応答して管楽器と弦楽器で繰り返され、その途中で(F dur)に転調すると、第3の部分で動機Xの反行形である2音ペアの跳躍下行型のヘミオラ風リズムで締め括って終止カデンツを踏む。

推移部分(21-52)

・楽曲形式と全体構成の緻密な配置から弛緩しがちな穏やかな楽章を常につなぎ止める第2楽章とは異なり、スケルツォ楽章などでは全体の楽曲構成とリズムパターンに則っていればそう崩れることはないから、主題にどんなアイディアを投入できるかというインスピレーションが非常に大切になってくる。着想豊かな主題を提示できれば、後は主題の素材に則って推移を挟んで再度主題に回帰すればスケルツォ部分は完成する。
・そんなわけでいきなり3度関係の遠隔調(同主短調の3度調)である(Des dur)に転調して主題S冒頭4小節が提示されると、各種断片を使用しながら転調を重ね、主題再現に向かう。(もちろん時間があれば細かく見るほど豊かな発見があるのですが、締め切り後に作成しているもので。)

スケルツォ主題S再現部分(53-90)B dur

・第2部分である推移パッセージが拡大されて、さらに第3部分のヘミオラ風が変形されベースと上声が交互に主題パッセージを繰り返す拡大型主題でスケルツォ部分でのクライマックスを形成しTrioに移行する。

トリオ(91-174)B dur

トリオ主題提示部分(91-121)

<<<確認のためだけの下手なmp3>>>
・分散和音によってオーボエによるジグザグした旋律と、修飾音を交えたヴァイオリンによる応答の掛け合いがベースになったトリオ主題(91-106)が提示されるが、主題途中で(Es dur)に移行する。このトリオ主題をヴァイオリンの応答に変化を付けてもう一度演奏し、2回を持って主題提示となす。こうしてトリオは(Es dur)領域に一時足を踏み入れるが、基本調性は(B dur)のままである。

中間推移(122-140)B dur

・再度トリオ主題が再現するまでの中間推移部分。管楽器によって主題冒頭と新たな応答を2回繰り返した後に、弦楽器に分断されたトリル音が導入され、それが完全なトリル伴奏になるとその上に乗せてトリオ主題が再現する。この短い中間推移部分は大きく全体が主題の属和音型で作られている。

トリオ主題再現部分(141-178)B dur

・弦楽器のトリル型伴奏に乗せて主題が提示部分では休んでいたフルートによって奏され再現が開始すると、提示部分とは違い主題2回目の繰り返しは、伴奏型に変化が付けられフォルテッシモのトリオ部分のクライマックスを形成し、前半をカットした後半部分だけの短縮形でなされ楽曲密度を高める。その後は2つペアの音同士の掛け合いによって推移し、スケルツォに回帰する。

再びスケルツォ(179-268)

 スケルツォの繰り返し。

再びトリオ(269-356)

 トリオの繰り返し。

ミタヴィスケルツォ(357-397)

 饒舌過ぎる嫌いのある3回目の繰り返しは第7番とは異なり、スケルツォを初めから繰り返さずスケルツォ主題S再現部分(53-90)だけで潔く締め括り間延びしたところがまるでない。


2005/02/10

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