アーサー王のあらすじ

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アーサー王物語り

・井村君江さんの「アーサー王ロマンス」でストーリーをざっと知っていれば、何も全部読まなくても良いじゃないか。そんなだらけた精神に基づくアーサー王の粗筋。

                     

第1部  誕生と即位

 アルモリカ族のコンスタンティヌス、ローマ貴族の妻との間にコンスタンス、アウレリウス・アンブロシウス、ユーサー・ペンドラゴン儲けん。コンスタンス王位に就くも家臣のヴォーティガンの国を取らん事。砦崩れるにインキュバス(夢魔)の子マーリン呼べば、ユーサー・ペンドラゴンの王に成りてマーリンのストーンヘンジを作りたる。マーリン後に湖の妖精ニミュエの虜と成りしも、今はまだ王の元に仕えん。ユーサー王に敵あり。されど敵王ティンタジェル候ゴーロイスの妻イグレーヌに愛を抱きたれば、マーリンの策によりゴーロイスの姿にて敵の妻と臥所を共にせん。その間にゴーロイス亡くなれば晴れてイグレーヌを妻とせん。 かくて生まれたるアーサー王、約束によりエクター卿に預けられし。エクター卿の息子ケイ卿と共に育てられん。カンタベリー大寺院の前にて剣を抜かばキャメロットにて王とならん。 されどその王位に抗議する者あり。戦い起こりてアーサーの名槍ロン、血を見ること久しければ遂にペリノア王と争いにならん。その王こそマーリンに助けられ一命を取り留めるアーサー王の、後には親しき配下とならん。彼の息子こそかのパーシヴァルなり。アーサー、ペリノアに受けし傷いやさんとし湖に行かばエクスキャリバー手に入れん。
 或る時オークニーのロト王の妃見えたれば、いとも易しく息子モードレットを儲けん。後で知りたるは実の姉モルゴースなれば、マーリンの言うがごとくにやがて禍とならん。されども今は戦いも終わりたる歓びに浮かれ、助けに行きしカメラード王ロデグランスの娘に巨人コーラングの首を見せたれば目出度くも結ばれん。円卓と共に王の元、晴れて王妃はグウィネヴィア。されど王は気の多き。カルーミエに、魔法使いに、捕まったのか行ったのか。湖の妖精ダム・ド・ラックに救い出されん。

第2部アーサー王と円卓の騎士たち

1.アーサー王の内外の戦い

 北ウェールズのリエンス王、髭のため殺されるは余談なれど、聖霊降臨祭(ペンテコステ)にローマの使者来たれば、ルーシャス皇帝と戦う事になりし。まずはフランスにて巨人を討ちてハウエル卿の土産とせん。怒るルーシャスの首落ちたれば、ローマに行きて戴冠せん。

2.モルガン・ル・フェの陰謀

 ウリエンス王の妃にて異父の姉モルガン、愛人アコーロンを王とするを狙いて、夫とアーサーを殺さんとす。鹿にて捕らえしアーサーの、剣をすり替え戦わせん。相手は奪いし王の剣、モルガンより手にしアコーロン。されどあわやの所でニミュエに救われ、亡くなりたるはアコーロン。知らぬモルガンの夫殺しは息子ユーウェインにより止められし。
 アコーロンの遺体運ばれ来れば、モルガン怒りてアーサーの不死身の剣鞘、湖の底へと投げ入れん。この不始末は息子の元に、ユーウェイン卿追い出せば、ガウェイン卿まで出て行きぬ。

3.兄弟騎士ベイリンとベイランの死

 キャメロットにて殺人のため留まりし男ベイリンの一人剣鞘を抜いたる話は、かつてアーサーにエクスキャリバーを与えたる婦人に兄と父の仇と言わしめれど、ベイリンのお前こそ母の仇とていち早く首を落とさん。アーサーの怒りにて都を追われ、それを追ったアイルランドのランサーはあえなく討たれん。飛び出した乙女コロンブまで殺せば、悲しみの中弟ベイランと会わん。共に行きてリエンス王を捕らえたればアーサーへの土産とすれど、怒りし弟ネロの攻撃の中ペリノア王のロト王を殺したる。この復讐は10年後、息子ガウェイン卿にて果たされん。二兄弟なおアーサーの元に戻れず、ペラム王の城にて騎士ガーロンを討たば、ペラム王の強き怒りに逃げ惑い、ついに禁断のロンギウスの槍投げつけぬ。城崩れマーリンの言うところ、ペラム王アリマテアのヨセフの血を引くものなれば、お前たち兄弟は共に知らずして戦いて相死なん。予言はなされマーリン2人の使いし剣に書かん、ラーンスロットかその子ガラハットのみが再びこの剣を使うべし。

4.騎士ガウェイン卿

 彼はアーサーの甥なればオークニー王ロトとモルゴースの子なり。多くの逸話一身に集め、その性格も多様なり。白鹿だけでなく持ち主も、うっかり夫人まで討ちてアーサーに宣誓させられるなどいとおかし。黒い騎士の話ではアーサーのため醜き婦人を妃とし、呪いが解ければいと美しき。

5.湖の騎士ラーンスロット

 バン王危機にアーサーを頼みて妻ヘレンと城を抜け出したるも、幼きラーンスロットを残して亡くなりたればニミュエに育てられたる後アーサーの元に向かいし。王妃グウィネヴィアと愛に落ちれどペレス王の娘エレインを助けたれば、エレインの魔法使いブリーセンに頼みてグウィネヴィアに成りすまし、子供が出来たのガラハット。怒るグウィネヴィアをなだめすかしたるも、同じ事王妃の隣で繰り返したる。グウィネヴィアの怒りに今はラーンスロット狂いながらの城を出て、エレインに救われたればその元でガラハットを育てるのみ。息子15歳の折ようやくアーサーの元に行かん。
 ある折馬上槍試合に名を伏せて現れしときのこと、ベルナルド卿の息子ラヴェインを供とすれば、エレイン・ル・ブランなる紛らわしき娘の心まで奪いたる。彼女の片身赤き片袖付けて戦えば、皆の標的とされ遂に大きな傷を負わん。ルブランのエレイン傷を癒せど、心通わず泣きて船上の死体とならん。アーサーの城にまで流れたれば淡き思い浮かべるのみ。

6.美しい手の騎士ガレス

 知らぬ男、一年後残りの二つ告げんとて宮廷に留まる事願い出たり。アーサーこれを許し、ケイ卿は台所で十分とてその者を美しき手、ボーマンと名付けん。一年後乙女来たればそれに従う事と、ラーンスロットにによりて騎士となる事を願い出て認められん。ケイ卿何者ぞとて彼を追うも見事に返り討ちと成らん。次に現れしラーンスロットと戦いし後、晴れて騎士の叙任を受けん。ようやく名乗りたる名はガレス、ガウェイン卿の兄弟なりと。黒、赤、緑の騎士を順に破ればようやく乙女はリネトと名乗り、新赤の騎士破りたれば姉上ライオネルを救い出さん。すぐ旅にとの姉上の冷たき言葉は裏腹の、逢引かさねてアーサーの前はれて夫婦とならん。

7.トリストラムとイソウドの悲恋(ひれん)

 メリオダス王マーク王の妹エリザベスを王妃とせんも、王の囚われし折に悲観したる王妃は子を産み残し消え去りぬ。その子トリクトラム、悲しみと名付けられし。王のマーリンにより助け出されたる後その子を育てたるも、次の王妃の子といさかい起きんと王宮を出でし。フランス王女ベリンダの愛のち憎しみは取るに足らず、ティンタジェル城にマーク王を尋ねん。困りしマーク王のため、一騎打ちにて毒を受けつつ相手を倒したれば、毒の有る所アイルランドに行きて治さんとせん。会いたるは運命の人イソウドなり。彼女のため試合にてパロミディス倒したればまた傷開きぬ。しかし留まりし王宮かつての一騎打ちの身内なれば、事ばれてアイルランドを追われん。
 マーク王のこれを聞きてイソウドを嫁にと願えば、アイルランド王をアーサーの元で助け承諾受けん。されど侍女のプラグウェインの2人に薬のませれば、ブルーノ、パロミディス、マーク王、怖いものなしの逃避行。遂にイソウド奪われ自ら毒を受けしとき、白い手のイソウド別人なれど結ばれて、最後は恨みの一言か。
               「黒い帆でした」

第3章聖杯探求の旅

1.ガラハット卿

 五旬節前夜の婦人によりてラーンスロットの知らぬ間に息子ガラハットを騎士にしたるところ、流れ来たるベイリンの剣をたやすく抜きてついに危難の席に腰を下ろしたる。聖杯の使者来たれば円卓の騎士、馬上試合の夜に聖杯の現れるを見てそれぞれ旅立ちぬ。この聖杯こそアリマテヤのヨセフの仕業によりブリトンにやって来たものなれば、ガラハットのホワイト修道院にてユーウェインより聞きし赤十字の白盾をいとも簡単に手に入れし。

2.パーシヴァル卿

 ペリノアの死に際の息子パーシヴァルは母と二人森の中に暮らしたれど、初めての騎士オーエンを見たが定め、母の忠告を胸に今は旅立ちぬ。母の言葉どおり婦人の天幕に入り込みて飲み食いのあげくに指輪まで奪わん。やがてアーサーの元に来たればケイ卿の面白き服との仰せに無口の少女まで笑いたる。ケイ卿の少女にまで口を出せば見事に気を失いたり。パーシヴァル、アーサーの為ある騎士を討てどオーエンの手を借りその騎士の武具を奪いて立ち去りぬ。ゴルネマンの城にて一人前となりしとき、王の姪ブランシュフルールと幾日かを過ごした後、いざ足の悪き漁夫王と聖杯王の元へ。その地で幾日も聖なる槍と盃を見れども遂に質問控えれば、城たちまち消えて婦人のなぜ問わぬかとの叱責の中、考えに耽りてついケイ卿を馬から蹴落したり。更に行きて魔女の誘惑に後一歩のところ慌てて逃げ出さん。

3.ラーンスロット、ガウェイン、ボース

 ラーンスロットの不埒な人妻との愛を懺悔したれば船に乗れとのお告げにガラハットと逢いてしばし過ごせど、今は我が子の去りし船の上をひと月さ迷いて城にたどり着かん。ライオンに剣向けたれば弱き者との声に聖杯の部屋に入りて贖罪の為24日の眠りに就かんとき、聖杯の王ペレスの現れ妻エレインの死を共に嘆きし。再び聖杯を見たれど弟エクター卿は中に入れずに戻りて、ラーンスロットもやがてキャメロットに帰らん。これまた兄と弟の宿命か。その頃誤りてユーウェインを殺したるガウェインも諦めて城に帰りたれど、ラーンスロットの従兄弟ボースは夫人のため弟ライオネルを見捨てる事により聖杯の声、舟に乗れと呼ぶを聞きし。行けばラーンスロットを送りし船にパーシヴァルの乗り込みてガラハットを待ちわびたる所なれば、やがて三人揃いて舟は進まん。途中ダビデとソロモンの剣なるものをガラハットが抜きたれば、遂にペレスの城にて聖杯の現れるに出会えたれど、聖杯のこの国を去ると告げし後、聖なる槍の血を漁夫王に塗る事を指示せん。かくてペレスの息子の足治りたるを見届け、三人の再び舟に乗りて聖杯を見送りたれば、ついにガラハットの聖杯に認められたる。一年の王を務めたる後天上に昇りしを見たパーシヴァルは僧侶となり、ボースのみがキャメロットに帰らん。

第四章 最後の戦い

 ラーンスロットの聖杯への誓いに首をはねると怒りしグウィネヴィア。声を聴きて逃げ出したれば、その間にメリアグランスの王妃をさらわん。荷馬車の騎士となりてまで助け出したるが、ついにアーサーの異父姉モルゴースの息子アグラヴェインとモードレットによりて告発されん。ラーンスロットのアグラヴェインまで殺しての逃避に遂に王妃の処刑されし時、突然現れ王妃をさらうラーンスロットの刃にガウェインの弟ガヘリスとガレスまで殺さたれば、ガウェインの怒りに国を分けての戦とならん。ようやく王妃を返したれど戦は収まらず、遂にモードレットを代理の王として大軍を送らんとき、ガウェインは二度の一騎討ちに敗れ重傷を負いし。そこに響きたるモードレットの反乱の知らせに急ぎ戻りたれば、ガウェインも今は最後とラーンスロットに和解の手紙を残さん。死してなを働き夢の中アーサーにラーンスロットを待つことを伝えたれども、緊迫の休戦の場は一匹の蛇によりて争いとなり、モードレットの遂に殺されたる。アーサーも今は重傷の身をベディヴィアに任せついに湖に到らん。ベディヴィア三度目にようやくエクスキャリバー投げ入れたれば今はモルガン・ル・フェの元に旅立つのみ。嘆きのグウィネヴィアは修道院に入り、遅れたるラーンスロットは逢えぬまま僧侶として最後を迎えん。アーサーのみが行方知れずなり。されど後の時代にこう言う者あり。「私にはアーサーの声が聞こえまする。」真か否か今は知る人なけれども、その言葉を聞きて涙するもの後を絶たず。

 PS.アヴァロンか、アヴァロンだけが冥界を育むと言うのか。姉か、姉のモルガン・ル・フェの元にゆとりも貰えずに帰って行ってしまったからといって、ケルト神話のモリーグと勇者ク・ホリンとの酷似のなせる技だと言う声を残してお別れの挨拶とするつもりなのか。

2004/9/14

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