・[AB-C-A-終止]の複合三部形式となる。緩徐楽章的だった2楽章に対して、より動的なものを表現し、
[どっしりーゆるやかー動きのある
ー動的・快活・軽快・ファンファーレ的など]
(・・・だんだん横暴な表現になっていくような)
を基本とするシンフォニースタイルの「動きのある」部分を形成するが、スケルツォのような激しい楽章は置かず、動性を高めて、重厚だが第1楽章より陽性である最終楽章を導き出す。
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・クラリネットとチェロのピチカート伴奏で開始するフレーズは、もっとも安定的な[4+4小節]の小楽節の後ろに1小節ずつ延長を加えて、[5+5小節]としたものである。これに対して、他の管楽器の順次下行型と、弦楽器の分散和音上行形で応答する後半(11-18)は、[4+4小節]で小楽節を形成し、合わせて大楽節となる18小節までが主要主題となる。
・これがクラリネットに3連符の印象的な対旋律を冒頭に加えつつ、19小節から第1ヴァイオリンによってもう一度行われるが、小節数が前半[7+7小節]、と拡大され、後半は[4+4小節]で行われた後、(41-44)小節で、特徴的な付点順次下行型が確認され、初めの提示よりも豊かに拡大している。
・印象的な弦楽器の伴奏に乗せて、(f moll)の短調領域で増2度進行を含む順次下降音型が管楽器に開始し、62小節目から主要主題が回想されるが、これは弦楽器に16分音符のパッセージ修飾を加えつつ、その途中で形を失い中間部にいたる。つまり提示部の形式は、
[AA'-BA'']
となるが、その最後の部分が冒頭の印象だけに圧縮されているわけだ。さらに先を云えば、中間部を経て繰り返されるはずの[AA'-BA'']の後半が却下短縮されて、終止に到るというのが、この楽曲の構図である。これによって聞き手は、ある種の満足し足りなさ、もっと楽曲に浸りたいような印象を心の底に抱き、それが第4楽章で満たされる。ブラームスはそんなことを考えていたのかも知れない。
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・管楽器で同音を打ち鳴らすファンファーレが(H dur)で、このファンファーレに弦楽器の分散和音下行型が応答しつつ開始する中間部は、
[中間主題提示Aーその発展A'×リピートで2回]
でありやはり非常にコンパクトだ。
・そしてフルートとオーボエの修飾を加え発展的に再現されるクラリネットの主題も、提示部のように短調の副主題へ入らず、短縮され連続的に終止部分へいたる。
・ここで中間部のフレーズが回想されつつ3楽章を終えるが、これはわずか11小節である。全体として形式の短縮が行われて、動的な密度を高める一方、安定した構図を十全に堪能仕切れない印象、何かを待ちわびる印象、次を期待する印象が、見事に演出されている。それが最終楽章の呼び水となることは、改めて言うまでもない。(・・・言ってるじゃんか。)
・この楽曲の主要主題は、アウトラインを、
始め順次下行型 [Es-Des-C-B]
次ぎに順次上行型 [C-D-Es-F]
に求めることが出来、11小節からの付点による順次下行型も、冒頭の順次下行型のアウトラインとその精神を共有している。この部分では分散和音上行形が、これとバランスを保つために使用されているが、全体として下行主体のモチーフで形成され、そのため速度記号が全楽章より早くなり、テンポがあがっても、快活・軽快・楽観的なイメージではなく、叙情的な・潤いのある・陰りのある・ような印象を強く与えることになる。これに対して中間部は立ちのぼることを夢見るような上行主体のフレーズを管楽器フレーズに持ち、これが楽曲圧縮を加えた物足りなさに加えて、最後の部分で回想される時、次の楽章への予感・期待感が効果的に演出される。そしてこの順次下行型は、再現部への回帰の部分[109-]でその原型を見ることが出来るが、第4楽章の冒頭のベースの順次下降型に引き継がれることになるわけだ。
2008/11/28