雪降る夜に見た夢は
雪降る夜はわたくしの
たましいさえも清らかな
すてきなものに思われて
凍えた窓のベランダで
真白な息をけむりのように
それから手すりの
雪を丸めた冷たさに
わざと驚いて見せながら
あちらの屋根に放ったら
どさりと落ちてずるずると
なだのようなゆかいです
はらはら散ります粉ならば
寝静まったそぶりの街角の
うすら明るい静けさへと
(校舎時計が見下ろした
グランドさえも真白にそ
染めゆく絹の痕跡は
なんの模様を描くやら)
明日になればだるまさえ
ふたつみっつのしのぎ合い
はしゃぎざかりのよろこびもまた
いつも変わらぬ景色です
いまは静かに夜も更けて
降りつのります雪あかり
静かに見下ろす街なみが
風もなくして祈ります
しんしんとするその歌を
僕はどれほどいつまでも
聞いていたいと願うのです
あの頃、いつか、遠き日の
同じ景色をまたひとしきり
感じていたいと願うのです
過去も未来も消え果てゝ
ただいつまでも祈りして
今さえあればと散る雪に
手を差し伸べてみたけれど……
手のひらに散る冷たさは
たちまち崩れて水玉を
喉にうるおすばかりです
それからそっと手を振れば
どこにもいませんわたくしの
愛する人はいつの間にやら
遠く/\の蜃気楼
あるいはそれもいつの夜の
impromptu に描かれた
ピアノ色した落書きなのかも知れませんね。
それともあなたのおもかげの……
名残のような白さして
わたしの時へ溶けてゆく
つかみ取れないきみ色の
過去は真白に染められて
祈りの花と散るでしょう
冷たい風の透明な
つかの間いのちのあかりして
はかなく消えるそれまでは
世界を白く変えましょう
隠されたような真実と
諭すみたいに降る雪の
やさしさそれはどうだろう
はっとわたしはベランダの
冷えたサンダルに驚いて
わざと足をすくめて見せたりしながら
凍えた窓を閉ざすでしょう
それからそっとカーテンの
雪降る夜も追憶のかなたへ
風に消されてゆくばかり
それがどうしたと思うけど
なんだか惜しいくらいの清らかさ
塗り替えられた世の中は
あるいはあなたとわたしして
染められる前の原風景のよう
それな真実をうつすものなら
わたしはあなたを愛すでしょう
わたしはあなたを祈るでしょう
あるいは雪の夜のまぼろしか
けれども清らかなよろこびと
わたくしの残され願いなのですから。
(おわり)
コメント
けっ、ゆとりがあってうらやましいぜ。
このあまちゃん野郎が。
雪かきだぜ。かいた雪が
ずんずんたまってだるまになったら
俺の夢さえずしんずしんと
のさばるような夜明けだぜ。
それこそ労働者の
健全なたましいってもんじゃねえか。
ああ、飯がうめえや。
こんばんは遙です。
デザートみたいなやさしさで、
降りますこな雪傘まわしたり
おどる鼓動にあなたのこと
もこもこマフラー、訪ねたら……
告白は
ましろ雪した 放課後に
袖つかまえて ふたり教室
なーんてね。
彼方さん、それじゃあまるで、
あなたの方が、あまちゃんサラリーマン?
じゃあね、ばいばーい。
やれやれ、
皆さまお暇ですね。