また酒上の落書
それはいつもの事として、時計のテーマで統一されていないようです。
悲しい時計がまわっている
悲しい時計が回ってる
だあれも知らない錆びかけの
うらめしそうな回ってる
見られることが生き方の
悲しい時計が回っている
自分のためだって言い聞かせながら
見られることが役割の
悲しい時計だから、偽りした
理想を掲げたってきっと
虐げられた歯車は
きしんだように鳴いている
抽象的な祈りして
誤魔化しきれないむなしさに
押しつぶされそうになりながら
きしんだ針が回っている
おなじレールのおなじ列車に
乗り遅れた者だけがもう誰からも
相手にされないようなむなしさを
かみしめながら回っている
そんな列車の不気味さに
おびえるみたいに震えながら
壊れる怯えに回っている
ゆがんでいるのは時計でなくて
眺める彼らの精神だとは
思い切れなくって悲しみに
打ちひしがれて回っている
もう錆びかけの部品して
古代の遺物と嘲笑しながら
群れ合う夏の誘い灯の
焼き焦がれるような焦燥に
おびえるようにきしんでいる
不気味なまでに群れ集う
彼らの正義にけずられて
もはや神を信じることさえも
罵る不気味にひしがれて
情緒をもてあそぶ快楽に
染まる娯楽を握りしめ
羽を飾った化粧品の
不気味な乱舞が宴する
ひたむきな歯車は壊されて
錆びかけの願いは浸食されて
刻んでいたはずの秩序さえ
もはやものの形をなさず
人で無くした符号のように
時空のゆがんだ針を打つ
もはや終わりの光景さえ
壊れたものには分らないまま
ただみずからを呪いながら止まるとき
はかない夢の流星が
願いも忘れて消えました
けれども蛾どもは気づかない
奴らの餌は燃えさかる
炎にたぎる陶酔と
主張し合うような羽の斑(ふ)と
共にに舞う精神でしかなかったから
よそから眺める神などと言う抽象を
描くことすら出来なかったから
彼らの群れ集う夕べには
壊れた時計のかなしみも
娯楽となって消えました
そうして残された希望とやらも
また翌日の誘蛾灯に
誘われるようにまたにこやかに
誰かを穢して群がる蛾の
飛び込んでゆくばかりです
かつての人の気配して