2016/10/14 即興短歌

酔いどれの落書

夜半の花火
  くちびる君は さよならを
    告げようとして みなだ満たして

谷渡る
  蔦の絡みの 背伸びして
    はびこるほどの いのちともがな

教えてよ
  やさしい声した 病棟の
    ひとみそらせば かなしみの色

しょせんは/つかの間の
  いのりの酒の ともし火を
    たよりに描く ポエムなのかな

いつか君の
  振り向く影の その刻に
    わたしはなくて 宵の落書

うずもれて朽ち木になずむだるまかな

誰が声か 逢魔が時を 夕まぐれ
    朽ちゆくかゞし あるはわたしか

ひっそりと朽ち木になずむ鬼火かな

天馳せる 夏告げ鳥よ
  滝繁く しぶき吹き上げ
    雲へ届けよ