酔ひのみ歌ふ鴉かな

機械仕掛の人形

壊れかけ
  人型しては 快楽を
    餌とむさぼる 古代人形

純鉄の
  精度の極み 極めては
    不純くらいな 知性掲げて

情動を
  離れた原始 回路図に
    おびえて眠る 古代人形

それは君の
  理念ではなく 実体でもなく
    わずかな付属物の (不純物の真珠みたい)
      結晶にしか過ぎないものを

知性とおびえて
   軋む人形どもよ……

損なわれたたましいの
    そのカオスに気づけよ。

でなければ君は
  人でなしの人形には
    過ぎないのだから……

たましいの夕べ

昨日の夕べの悲しみは
  悲しみという情緒が結ばれた途端に
    情動をもさぶる動物にしか
  理解できないものになりましたのに

明日の夕べの悲しみを
  歌うあなた方は情動をもさぼる
    感情的動物の付属の付属のそのまた付属の
  理屈が結び合わされた獣(けだもの)には過ぎないのに

そうしてそれだけが
  たったひとつの人間の
    存在意義でもありアイデンティティでも
  つまりは証でもあったはずなのに

その一番大切なものを忘れて
  まるでみずからを理性やら知性のたまものと
    勘違いするほどに愚かしい
  動物の端くれにも満たないものと成り果てました

知性の派生するその根源をさえ
  大切にしたならこれほどみじめな
    不始末にはならなかったはずなのに
 僕らの世代はまるで地獄みたいな
   情緒を穢してはしゃぐのでした

それがあなたがたには幸福で
  ただわたくしに地獄であるならば
    どれほどかわたくしも単純にまた
  死に行くことさえ出来たでしょうが

たましいの本性が騒ぎます
  あるいは私のなかの本性でしょうか
    わたくしを穢したあなたがたすべての
 けたたましい雄叫びのなかにもほんのわずかな
   地獄の悲しみが潜んでいることを
     わたしは悲鳴のように感じてしまうのでした

わたくしはその悲鳴のために歌います
  たとえ99パーセントのあなたがたが
    わたしを嘲笑して穢すとしてこれからも
  たとえ血縁の誰からも理解されずに

本心から僕たちを嘲笑するとしても
  嘲笑することだけがあなたがたに残された希望
    安全地帯で相手を罵ることだけが
      あなた方のたましいのすべであるとしても……

そうしてそれらの精神にへつらった
  いつわりの詩人どもがあなたの友となり
    あなたがたに相応しいいつわりの夢やら愛を
  グロテスクに斉唱するとしても……

わたくしはそれでもたったひとりの
  あるいはそれらからあぶれて悲しみに沈んでは
    なみだするあなたのために歌うことが
  もはや理性やら知性とは交わらない

非理性的な情動、
  不条理な妄動、
    原始的な暴挙には過ぎないとしても。

わたしはただ一人なみだする
  ただあなたのために歌うことだけが
    たったひとつ残された動物的なよろこび
 つまりは最後に残されたもの
   わたしの情緒がまだ生きている領域

つまりは唯一の希望であり
  最後の頼りであり
    そうして人のたましいであるように
  思われてならないものですから

[P.S.]
99.9999の人々に憎しみを
  そうして見知らぬたったひとりのあなたに
    あなたこそはたましいを持った残され島の
 人間というものであることを
   奏でて歌おうとわたしは願います

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