つかのまのつばさ
酒はさかづきを呼び、さらなる酒はもげかけの
ひなびたつばさを、よみがえらせる
飛翔はさわやかな風となり
悲しみの情熱さえなつかしいくらい
憂いの友のやさしさに
忘れかけた情熱はいつしか
詩人の心をよみがえらせる
霊感はろれつとたわむれながら
乱拍子さえも千鳥して
駆け抜ける波さえさわやかに
呼び戻された魂は
つかの間、空さえ包み込む
永遠の祈りさえも胸中に
収めるほどのたわむれて
氷結刹那に煮沸(しゃふつ)する
第六世界の幻影さえ
つまびらかにして写し取る
心象さえも懐かしく
けれども彼らの地に落ちず
妄想さえも言の葉の
色づきながらもゆらゆれた
空のあこがれ忘れずに
はばたく鳥のやさしさに
飲み干すような水辺なら
つかの間いのちの揺らぎさえ
甲斐あるものに思われた
[反歌]
それさえ尽きた朝(あした)には
よどんだ夢の痛みして
のたうつ寝覚めの悲しみに
消えゆたましいよあはれなれ