雪降る夜に見た夢は
雪降る夜に見た夢は 雪降る夜はわたくしの たましいさえも清らかな すてきなものに思われて 凍えた窓のベランダで 真白な息をけむりのように それから手すりの 雪を丸めた冷たさに わざと驚いて見せながら あちらの屋根に放ったら どさりと落ちてずるずると なだのようなゆかいです ………
女もすなる日記といふものを男もしてみむとてするなり
雪降る夜に見た夢は 雪降る夜はわたくしの たましいさえも清らかな すてきなものに思われて 凍えた窓のベランダで 真白な息をけむりのように それから手すりの 雪を丸めた冷たさに わざと驚いて見せながら あちらの屋根に放ったら どさりと落ちてずるずると なだのようなゆかいです ………
僕たちの 朝日を浴びて 背を伸ばし 絡まるうちに へちまあごして きみの背の まだ上にある つた絡め 伸びゆく草を いつか追い越せ 溶けのこる 屋根は真白に 日をさして 小鳥ら歌う おはようの声 校舎時計 さくら吹雪か わかれ歌 星は尽きて ゆうべあかりもなかりけり [狂句] たまねぎで ………
同一精神上のアリア 弱り切ったその人は 酒を飲ませてももう駄目で 意気消沈を友として 怠惰を抱えて揺らいでた 風前の灯火なのだと ちょっと笑った笑顔には やつれたような能面の いつわりの表情が浮かんでいた ただ歳月に流されて 朽ちゆく枯葉を待つような その精神は干からびた がさがさとしたけがれして 遠くみずみ………
2015年師走 2015年12月25日 祖父の亡くなりたる夜も更けて 日の移り変はりたるによめる ますらをの黄泉路も歳の果ならむ 撃たれし友がもとへかきみが魂 わかれては けがれなくして なきがらの 天(あま)へと馳せる きみがみたまは あるじなくて 師走にひらく さつきかな 汝と吾 時瀬の波に 酔ふ酒は 語りも尽きず 朝ぼらけかな 幼き頃 ………
2016年1月1日 あらたまる年も年ごとに人のかりそめの尺度に過ぎないことばかりが味気なく思われるこの頃には、よろこびも薄れゆく気配ではありますが、人を捨て去れないわたくしもまた、人の世の習いに従うものとして、年明けを祝うのもまた、おもしろかろうとは思うのですけれども…… 静けさに 映える街なみ 陽浴びして 羽ばたく鳥よ としあけの空 あいさつも………
をむなもすなる日記といふものを、 をとこもしてみむとてするなり。 望(もち)の年の、八月(はづき)の四日の、戌(いぬ)の時に門出す。 そのよし、いさゝかものに書きつく。 ある人、酔いに果てゝ、例のことゞも、なにもなし得ず、 あばれまはりて、住むべき端末さえ打ちて、戻るべき宿さへあらず。 かれこれ、残されしものうしなふ。 年頃、思ひかへすこと………