道なき路

道なき路

さよならが笑っている
僕は紡いだ糸が
もつれてさ迷うみたいに

君の明日を占って
みじめに手を振った
送りびとみたいだね

道を選ぶなんて
君には馬鹿らしくて
歩いたところが路になるって

微笑んでいたのがたった一つの
真実だなんて気づかなかった
僕はいつも路傍のひと

路なんて僕らが歩いたところが
いつしか馴らされただけなんて
そんな馬鹿みたいな絵本すら

まったく分っていなかったんだ
生まれたときから路があるからそれが
ただルートだって信じていたから

ただあなたが歩いたところが
僕らに慣らされていつしか道が出来る
それは僕らがあなたを慕うからで

はじめから定められた夢なんて
方程式みたいな愛なんて
ゆだねられない辞書の落書

ただ歩き出す君がいて
僕にはそれが不可解で
でもあなたの赴くままの
求めるただの一歩だけが本当で

道を探す僕らの愛こそが
いつわりの愛で、まるでおままごとみたい
与えられた定理を疑いもせず
いつわりの神にすがりつく

いつわりの歩き方を、
いのちだなんて信じている、
人形なんだって、今は分るよ、
あなたが……

ただきれいな花を見つけて
素敵だって思って標識もない
道でも無いところを当たり前に
靴を泥だらけにして

けれどもそれは
ドラマの主人公みたいに
酔いしれて自覚するのでなくって

本当に無邪気に教わるでもなくて
花への行き先をあなたの道にして
そうして戻るでもなくそこから先に
またどこかへと行ってしまう……

僕は途方に暮れて
あなたを探すまよい鳥みたいに
宵にまみれて悲しく泣いている

明日はあなたのためにも
僕らのためにも等しくあるけれど
あなたのためにはうれしくて
僕らのためには悲しくて

僕らも明日からは
僕らの道を歩みたいって
やがて訪れる星たちに祈りして
手を合わせては見たけれど……

それはただ与えられた
沢山の物語から演繹された
その瞬間に相応しい仕草を
まるで与えられた道路みたいに

歩んでみせたまでのこと
僕らの明日はどこまで向かっても
置いてきぼりだね、あなたには届かない、
ただあなたに逢えたことを

奇跡みたいに暖めながら
慣らされた道路を歩いていく
惨めないのちが別の惨めないのちを
慰めるまたいつわりの物語を

歌ってばかりの世の中です。
本当を無くした、舗装道路の、
僕らの完成された、世の中です。

P.S.
これも一筆書
つじつまを求めても
推敲されない限り無駄なことです。
気力の尽きた僕たちの、
怠惰な生き方の末路です。