いくつかの断章

いくつかの断章

どれが良いやら

恋見月
  夢見る夜半の 月影は
    届けられない 君色のなみだ

恋みづき
  夢みおぼろの 月影は
    あなたへとゞけ ひめごころして

夢みづき
  うらゝおぼろの 月影は
    あなたへとゞけ ひめごゝろして

夢みづき
  うらら月影 ひめごころ
    恋に揺らめく あたな映して

春は別れの季節です

待つ駅の
   風は揺らせて すみれ草
 旅立つ君へ さよならの春

発句などもまた

君は夢に
  天の河原のわたし舟

ほがらかな
  見つけたてして クローバー

久しぶりに酒を飲んで

僕が君を
  あなたがわたしを 忘れ去る
    そんな日なんて 来ないと信じて

ふたりの螺旋
  ひと筆書きの もどかしく
    立ち止まっても 触れ合えないけど

君に愛を
  すべての人に 憎しみを
    それも怖くて あなた愛して

きら風が
  青からぼうへ 吹き抜けて
    未来へ届け わたがしの雲

さくら咲く
  さくら唄koe しらべには
    街ゆき人も あゆみ留めて

ふと君を
  思い出します 今はもう
    忘れて消えた シャボン玉して

アメンボに
   あじさい訪ね かたつむり

隠れ日傘は 邯鄲の夢