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星に願いを

星に願いを あなたの声がはるか遠くて 僕はもうがんばれなかった たとえ僕の声が遠く過ぎて あなたが頑張れなかったとしても ふたりの思いはすれ違い、交わらなくって 僕たちはけがれた嘲笑の渦にまみれて 震え寒さの北限のひもじさに 冷たさに刺されながら消されてゆくでしょう それでもどんなに凍っても、泥まみれの 彼らの手には、決してけがされることはな………

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道なき路

道なき路 さよならが笑っている 僕は紡いだ糸が もつれてさ迷うみたいに 君の明日を占って みじめに手を振った 送りびとみたいだね 道を選ぶなんて 君には馬鹿らしくて 歩いたところが路になるって 微笑んでいたのがたった一つの 真実だなんて気づかなかった 僕はいつも路傍のひと 路なんて僕らが歩いたところが いつしか馴らされただけなんて ………

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ひと筆書の祈り

ひと筆書の祈り 僕が僕だって思えることが どんなに大きな幸せだって ありきたりの毎日が どこまでも続いていくって いつしか甘えていたんだ 好き嫌いとかけだるいとか 食べたいものに夢中になって お祈りの呪文さえもう かた言も思い出せないくらい 笑い合えれば幸せだって 淋しい野原を歩いていた頃の ほほえみだっていつの頃からだろう ただ快楽を………

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以上の総括として

言えることは  一番はじめの詩は、その刹那に信じた真実を唄ったものではなく、言葉の虚飾をもてあそんで、それらしい体裁に整えたからこそ、虚飾の体裁の似合うお化粧の世の中には、ありきたり詩らしく思われ、それ以外のものは、素朴な心情の吐露より出発したが故に、虚飾にあふれたお化粧の世の中には、不体裁なものに思われて、ひからびちまった情緒をもてあそび、与えられたお涙に酔いしれる鶏どもからは、倦厭される………

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鶏小屋の真実

あるいはまた攻撃的な  鶏小屋の真実を真実と見なす鶏しか居なくなったとき、鶏小屋の真実が真実となって、小屋など存在しない、鶏の真実は穢されて、いびつなにせものと罵られ、消されゆくものには違いありません。それでもなお、悪あがきする鳥の一羽くらい、暴れ回るのが詩なのかも知れませんね。 わたしではなくあなた Ⅰ その人の言葉だけが   真実のように思われて  ただ、その人の落………

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本当の歌とは

それは不体裁な姿して  けれどもわたしだけには、本当のたったひとつの歌だから。どれほどの嘲弄にもてあそばれても、譲ることの出来ない信念なのかも知れません。それは例えば、 星の果 あの日あなたを 抱きしめておけばよかった   秒針はあの日と 変わらない刻みをしたけれど あなたはいつしか 別のあなたに    わたしもいつしか 別のわたしになって それでもいつま………

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虚飾の栄え

あるいはにせものの詩について  真の心情からではなく虚飾の生ぬるい精神から生みなされた詩の、本質的な嫌みということについて説明しようと思って、わざと作ってみた詩。それを作りっぱなしで、どのように説明しようとしたのか、すっかり時期を踏み外してしまったので、とりあえず掲載だけして置こうというもの。化粧品まみれのこの手の落書きなら、今の世こそ大量にあふれているには違いありません。そうして本当の心な………

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小鳥らの唄

小鳥らの唄 大切なものを無くした朝に  描いた小鳥は夢でした   かろやかにさえずるまぶしさに  にじんだ涙は風でした なぐさめたいな悲しみを  ゆらいだ草のしずくして   かろやかになびく風ならば  手を振るわたしのあきらめさえも…… 未練もなくてほがらかに  大気へかえすかすみして   さえずりおどる小鳥らの  未練もなくて消えました。 夢………

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虚偽の哲学

虚偽の哲学 一 虚偽は虚構を共として   偽善をロマンスと風に乗せ     羽ばたく夢さえ餌まみれして   太ったきらびやかにあふれてた 現実はむさぼるみたいな   虚構をつなぐ時の釣り糸にして     怒りも笑いもいつわりにかどわかされ   セピアに褪せて揺らめいていた 日常は与えられた快楽の   代償として支払う贄(にえ)となり     目の前の人さ………

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歯っ欠けじゞいの食い意地歌

歯っ欠けじゞいのうらみ歌 Ⅰ 歯っ欠けじゃよ、歯っ欠けじゃ   歯っ欠けじゃろうて、歯っ欠けじゃ     歯っ欠けじゞいのうらみ唄 じゞいの歯っ欠け、台無しなって   食うも食われぬ、ボロ切れの     餅も食われぬみじめさよ 飲み足りなくて、また飲んで   食い足りなくて、また食って     食事の合間に、おやつらやら   なにやら食って生き抜いた ………

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酔ひのみ歌ふ鴉かな

機械仕掛の人形 壊れかけ   人型しては 快楽を     餌とむさぼる 古代人形 純鉄の   精度の極み 極めては     不純くらいな 知性掲げて 情動を   離れた原始 回路図に     おびえて眠る 古代人形 それは君の   理念ではなく 実体でもなく     わずかな付属物の (不純物の真珠みたい)       結晶にしか過ぎないものを………

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蛍の歌

蛍の歌 あなたはどうして   そんないつわりのイルミネーションや  飾り立てたショーウィンドゥに    はしゃぎ回るようなおさな子みたいに 静かな三日月の頃の   浜べの砂のあこがれみたいな  潮騒のささやきさえ捨て去るみたいに    磨かれたしら玉にあこがれるのでしょうか そんなものなどなくても    僕らの毎日は豊かで暖かくて  そうしてささいな食事し………

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ふるさとの街なみへ

ふるさとの街なみへ  思い返せばふるさとは、ひとかげさえも消え失せて、ただ懐かしい風景に、セピアをかざしていのるでしょう。それなのにわずかな現実に触れたなら、なんだか知れないとがった痛みに、刺されるような夕暮れに、わたしは春をいのるでしょう。くだらないプロフィールはいつしか消され、あの頃は未来へと溶けるでしょう。あなたはいつしかそれを眺めて、わたしの知らないその街を、ただ豊かにほほえんで、け………

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つかの間の四行詩

不思議なことに  見出しを付けるという行為が、酔いどれの落書きに、このような無意味な散文をも、加えることにもなることは、どれほど人というものの正体が、ある種のパターン化された行為に、規律されているかの正体であると共に、個性の範囲の狭さを、露呈しているようにも思えるのですけれども……  今さら、そんなことはどうでもよいことです。    時々走らせる落書きさえも、      近頃は………

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雪降る夜に見た夢は

雪降る夜に見た夢は 雪降る夜はわたくしの   たましいさえも清らかな     すてきなものに思われて     凍えた窓のベランダで       真白な息をけむりのように   それから手すりの      雪を丸めた冷たさに        わざと驚いて見せながら あちらの屋根に放ったら   どさりと落ちてずるずると     なだのようなゆかいです ………

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同一精神上のアリア

同一精神上のアリア 弱り切ったその人は   酒を飲ませてももう駄目で  意気消沈を友として    怠惰を抱えて揺らいでた 風前の灯火なのだと   ちょっと笑った笑顔には  やつれたような能面の    いつわりの表情が浮かんでいた ただ歳月に流されて   朽ちゆく枯葉を待つような  その精神は干からびた    がさがさとしたけがれして 遠くみずみ………